移住者の声

淡路島で引き継がれる縁 ~菊栽培農家 中井さんにインタビュー~

お名前
中井伸弥さん
出身地
大阪府枚方市
在住地
南あわじ市
移住年
2009年

丹精こめて栽培した菊

3連のビニールハウス

淡路島でもそろそろ梅雨の終わりに近づく頃、南あわじ市灘地区にある1軒のビニールハウスを訪れました。その人は雨の日も風の日も毎日ビニールハウスで働くという菊農家の中井伸弥さん(34才)。合わせると約1反もある広々とした3連のビニールハウスで、まずは淡路暮らしのきっかけからお聞きしましょう。

中井さんが淡路島に移り住んだのは2009年のこと。それまでは生まれ育った大阪府枚方市で建築関係の仕事に携わっていました。独立し事務所を構え、仕事が軌道に乗りかけた頃、淡路島への移住が頭に浮かんできました。現在お住まいの阿万地区出身という奥様と話し合ううちに、「移住し転職するなら今しかない。」と考えたといいます。
奥様の実家はすでになくなっていて、頼る人がいるわけでもなく、建築の仕事も需要が少ないだろうと考えながらの移住・・・ずいぶんと思い切りが要ったはずですが、一番気になるお仕事はどうだったのでしょう・・・。

移住後すぐに緊急雇用で就いたのが、淡路島に多くある農業用のため池を調査して回る仕事でした。半年間働く中で農家さんと話す機会が多くあり、そのうちに農業に興味を持ち始めます。けれども、「農業では食えない。」という言葉をよく耳にしました。
「本当に食えないのか」・・・当時すでに2児のパパだった中井さんは南淡路市役所や兵庫県農業普及センターに相談。就農支援の担当者の紹介で研修会に参加したり、農地での実習を受けたりすることができました。1年半研修を受けた先が菊農家だったことが現在の菊栽培のきっかけとなりました。
淡路島は古くから菊の産地として有名ですが、やはりここでも高齢化の問題は深刻です。中井さんが自分の農地を探しているうちに、80才代の菊農家さんに出会いました。これから新しく菊栽培を始めようとする彼からの相談を受け、ご自分のハウスを安く貸してくれることになりました。誠実で意欲ある若者に引き継いでもらえるとあれば、大先輩農家さんも安心して引き渡すことができたのでしょう。

とはいえ、菊作りはやはり難しいようで、虫が付かないよう消毒やこまめな手入れが欠かせません。忙しい時には週に3回もの出荷、その後には次の挿し木の植え付け・・・と休む暇がありません。

「それでも子ども達と一緒にいられる時間は以前よりずっと増えた。」と優しいパパの笑顔をのぞかせます。不動産屋を介して見つけた阿万のお家には、奥さん、生まれたばかりの赤ちゃんと合わせて3人の息子さん。その元気な声が聞こえてきそうです。
「農業は思っていたより楽しい。」さらりと口にし、すでに若い就農希望者から相談を受けているという一方で、「今後はこの職を法人化し人を雇えるよう拡大したい。せっかくの菊の産地を守っていきたい。」とも・・・頼もしく、ありがたい言葉です。
菊人形で有名な枚方からやって来た中井さん、今度は淡路島でできた菊の縁を守り続けてくれることと期待しています。
取材:2014年07月15日

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