相談員ブログ

データでみる移住の成功パターン

こんにちは、あるいはこんばんわ。相談員の田畑です。

私は、移住してからそろそろ丸3年になりますが、暮らしも地域との付き合いも順調です。
仕事に関しては、、、想定より少し忙し過ぎるかもしれませんが(;一_一)

こんな感じで私は移住生活に十分満足しており、この生活を続けたいと思っていますが、同じように移住してきても、うまくいかずに帰ってしまう人たちもいます。
夢と希望を持って移住を実現させたのに、その生活を満喫できる人とできない人がいる。この違いを知りたいと思い、今回は1年半ほど前に試験的におこなったデータ分析の結果を記事にしていきます。

データ分析①

データは「あわじ暮らし総合相談窓口」に掲載されている「移住者の声」のインタビュー記事113人分、単語の数にして約15万語を利用しました。インタビューに応じてくれる人なので、恐らく移住生活がうまくいっていると思われ、移住を楽しんでいる人たちの共通点を探すために、このデータを計量テキスト分析の対応分析という手法を使ってみていきます。

年代別にみたあわじ暮らし

上の図はインタビューに使用された単語を年代別に、その出てくる頻度を比較したものです。60代以上の方々は「元気」や「家」という言葉が目立ちます。恐らく、移住して自然豊かな環境に癒されて元気になった、、、とか、40代の方々だと緑の多い環境が子育てに適している、などのコメントが多かったのだと思われます。

淡路島への移住に期待することや移住後に満足するポイントは年代によって特徴があることが分かりました。まとめると、

60代-元気、家、
50代-店、オープン、料理、カフェ、開く、大阪、神戸
40代-夢、子育て、緑、自然、東京
30代-民家、学ぶ、農業、農家
20代-自身、会社、働く

こんな感じです。淡路島は色々なニーズに応えることのできる場所のようです。

 

ちなみに同じ分析手法で職業別にみた頻出単語をまとめると、以下のようになります。

独立開業-夢、民家、料理、カフェ、教室
農業-野菜、玉ねぎ、農家
クリエーター-子育て、田舎
会社員-楽しむ、夫婦
リタイヤ-元気、友達

クリエーターの方たちは田舎で子育てをするために移住したケースが多いようで、また開業はカフェが人気のようです。

データ分析②

次に同じデータを使って、一緒に使われている頻度が多いキーワードを抽出してみました。例えば、「玉ねぎ」という単語は「甘い」や「美味しい」といった単語を一緒に使われることが多く、そこから淡路島産の玉ねぎの特徴が分かる、、、といった感じです。
円の大きさは使われた回数で、その言葉と一緒に使われている単語が線で結ばれます。

人は温かく、自然が豊かな島

この図の「人」をみると、周囲に「温かい、地元、多い、魅力」などの単語がみてとれます。これは、移住生活がうまくいっている人は地域の人たちを温かくて魅力があると感じており、近所や地域住民と良好な関係を築けていることが分かります。イベントというワードもあるので、地元のイベントに自ら積極的に参加して、人間関係を構築する努力もしてるのだと思います。

また、「農業」「農家」というキーワードと「楽しい、紹介、経営」が一緒に使われているのをみると、農業を目的に移住してきた人は数年で独立して経営者になっていることが想像されます。同じく、「暮らし」というキーワードは「田舎、楽しむ、夫婦」と一緒に使われているので、田舎暮らしを始める人はプライベート重視の傾向があるように考えられます。
そして、この図の中心に農業以外の「仕事」や「お金」に関するキーワードが少ないことから、移住の目的は「稼ぐ」とか「儲ける」ではなくワークラーフバランスで言うとワークの比率が低い人たちの満足度が高いように思われます。

 

分析結果をまとめると、、、

ここまでの分析結果をまとめると、

①移住には「仕事」でチャレンジしたいグループと、充実した「暮らし」を求めるグループに分かれる
②会社員、リタイヤ組は「暮らし」、自営・開業、農業は「仕事」が話題の中心になっている
③20代、30代、50代は「仕事」、40代は子育てを中心とした「暮らし」、60代は夫婦ともども元気に暮らすことが目的
④年代が高いほど近距離の移住、若いほど遠距離から移住している

こんなことが分かってきました。なので、若者の移住者を増やしたければ東京など遠隔地での広報活動に力を入れるべきで、若い世代に合わせた情報発信手段を使うべきなんでしょうね。

そして、移住に満足している人に共通していることは、
1.仕事で上手くいっている人は、移住生活にも満足している
2.多趣味な人ほど、移住生活に満足している
3.子育ては行政の支援よりも社会・自然環境を重視している
4.地域活動に積極的に参加している人ほど、移住生活に満足している
5.学習意欲の高い人ほど、移住生活に満足している

だと言えると思います。少し厳しいことを言うと、移住に「癒し」を求めてもいい結果は得られないかもしれません。都会の生活に疲れて淡路島でのんびりしたい、、、ってな感じの人は、これまでの成功者にはあまり居ないようです。移住を成功させるには、積極的で何にでも首を突っ込む、そんな心構えが必要なようです。

私もいま一度、移住生活を楽しむ努力をしないといけないなぁ~。

この記事を書いた人

田畑尊靖

田畑尊靖

転勤で福井や東京などで暮した結果、静かな田舎暮らしに憧れて東京脱出を計画。どこでも仕事ができるように中小企業診断士や行政書士の資格を取ってから2021年9月に南あわじ市に移住。今はコンサルタントとして起業し、地域の人たちの「法律と経営の街医者」的な存在として様々な相談を受けている。(https://tbt-asml.com/)

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