こんにちは。
東京から淡路島に移住して5年目の小林です。
年度末で何かと慌ただしい時期ですが、ちょうどこの1年を振り返る機会も増えてきました。
今回は、移住をきっかけに生活の一部となる「地域活動」というテーマについて書いてみたいと思います。
移住を考えていると、ときどき見かける「地域活動」の言葉。
実際どんな感じなの?と疑問に思うこともあるのではないでしょうか。
わたし自身も移住前はこの言葉に対してほとんどイメージがなく、正直なところ、「自分とは少し遠い話」として受け取っていました。
でも今振り返ると、この「地域活動」への関わり方が、移住後の暮らしの質に大きく影響していると感じています。
東京にいた頃は、「地域活動」という概念がなかった

わたしが東京にいた頃——
板橋区での一人暮らし時代も、その後に住んだ東村山市の住宅街での暮らしも「地域活動」は、ほとんど生活の中に登場しませんでした。
回覧板が回ってくることもなく、近所の方と声をかけ合うことも稀で、個々の生活がただそこにあるだけ、といった感じでしょうか。
少し思い返せば、幼少期に育った新潟ではお祭りの準備や清掃活動に参加した記憶があります。けれど都市部での生活の中で、そういった記憶はすっかり薄れていたように思います。
地域活動には大きく2つの種類がある
改めて整理してみると、地域活動は大きく「維持する活動」と「発展させる活動」の2種類に分けられると思います。
維持する活動は、読んで字のごとく地域の現状を保つための取り組みです。
- 道路や農道の清掃
- 用水路の点検・補修
- 集落の草刈りや景観整備
- 自治会・町内会の運営
- 地域行事の準備・運営
わたしが住んでいる洲本市の竹原集落は全5世帯・13人ほどという小さなコミュニティです。人手が限られている分、こうした維持活動はまさに「全員参加」が前提で進んでいきます。

一方、発展させる活動は、地域の中長期的な課題にアプローチするものです。
過疎が進む地域では人口の減少が深刻で、定住人口を増やすことはもちろん、関係人口として地域に訪れてくれたり、地域の活動に関わってくれたりする外部の人たちを増やすことも重要な課題になっています。
わたしが暮らす集落では、10年以上にわたって地域と大学が連携した取り組みを続けています。
大学生を受け入れ、フィールドワークの場を提供することで、地域を継続的に知ってもらう仕組みを積み重ねてきました。
(わたし自身も、その窓口役として関わらせていただいています)

移住者にとって地域活動は「入り口」になる
移住直後のわたしにとって、地域活動は地域の方々と関係性を築くための、最初の「入り口」でした。
草刈りひとつとっても、最初は機材の使い方すら分かりません。刈払機の持ち方から、どこをどう刈るかの段取りまで、先輩住民の方に教わりながら一緒に動くことで、自然と会話が生まれていきます。
「レバーは引きすぎず、一定に保つといい」
「小石が跳ねるから気をつけてね」
という一言でも、移住したての頃はとにかくわからないことだらけなのでとてもありがたいものです。
地域活動を通じて生まれた関係性は、暮らしのさまざまな場面で助けになります。
最近のできごとで言えば、単管パイプを加工したいと集落の方に話したところ、「うちに加工できる道具があるから使い」と道具を貸していただいたことがありました。地域の景観維持やDIYが自然と行われている地域では、誰かしらが道具や重機を持っていたりします。
(なぜか私の集落は5世帯しかないのに、ショベルカーが3台もありますが…笑)
わたしも移住後の拠点の庭の整備を行うのに、重機を出動してもらって整地してもらいました。

都会の暮らしでは、こうした道具は「レンタルするか、業者に頼む」一択だったはず。
もちろん、こうした関係性はひと言「貸してください」と頼めば成立するものではありません。日々の挨拶や、草刈りや清掃活動などの場で汗をともにした積み重ねがあってこそだったりします。
地域を発展させる「地域活動」ってなに?
先ほど触れた「発展させる活動」について、もう少し具体的にお話しします。
わたしが暮らす集落では、10年以上にわたって地域と大学が連携した取り組みを続けています。
先輩住民の思いが発端になり、大学生のフィールドワークの場として受け入れることで、地域を継続的に知ってもらい、関わり続けてもらう仕組みがここ10年近く続いています。
こうした取り組みを継続することで、地域は「何か新しいことをやっている場所」として少しずつ認知されていきます。
すると、企業の社会貢献事業のフィールドとして関心を持っていただいたり、大学の研究対象として声をかけてもらったりという広がりが生まれてきます。
今年は、集落内の取り組みを発表する機会も多く、各種フォーラムに参加することも多かった……。
地域外とのつながりをつくる取り組みやこうしたフォーラムを通じて新たなつながりができ、その後に集落への視察などにも発展します。こうした場は、地域・企業・大学・自治体がそれぞれの立場で関わり合えるきっかけになっていたりします。
移住者は、こうした地域の外の世界との「橋渡し役」になりやすい存在でもあります。
都市部のネットワークや感覚を持ち合わせながら地域の内側に入り込んでいる、というポジションは、関係人口を増やしていくうえで自然な役割を担えると感じています。
もちろん、こうした活動はすぐに目に見える成果が出るものではありません。
地道な積み重ねの先に、じわじわと関係人口が増えていく——
それが「発展させる活動」のリアルな姿だと思っています。
「与える」ことが、暮らしの豊かさになる
地域活動でかかわった知人が、こんな印象的な言葉を話していました。
「世の中は贈与でできている。人に何かを与えられる人ほど、幸福度が上がっていく」
この言葉が、地域活動への向き合い方を考える上で、個人的にはとても腑に落ちています。
移住してきた土地の自然や人の温かさを享受するだけでなく、自分のスキルや時間を地域に「贈る」ことで、その関係性が深まっていきます。
そしてそれが、めぐり巡って自分の暮らしを豊かにしてくれる、と、地域とともに暮らすというのはそういうことなんじゃないかと最近は思います。
もちろん、生活の全部を地域活動に捧げる必要はありません。
自分の時間や労力を100のうち、5でも10でも、地域に向けて時間を割くことで見えてくるものがある——というくらいの感覚が、最初はちょうどよいバランスではないかと思っています。
地域活動は「負担」ではなく「入り口」

地域活動というと、少し義務的な響きを感じる方もいるかもしれません。
実際、最初は「よく分からないまま参加する」ところから始まるので、多少の腰の重さがあるのは正直なところです(笑)。
でも、わたしの5年間を振り返ると、地域活動への関わりがなければ、今の暮らしも仕事もまったく違う形になっていたと思います。
地域との信頼は、日々の小さな積み重ねからしか生まれません。
ですがその積み重ねが、暮らしを豊かにしてくれます。
移住を検討されている方、あるいはすでに移住されている方も、地域活動を「負担」ではなく「入り口」として捉えてみると、少し違う景色が見えてくるかもしれません。
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