こんにちは、あるいはこんばんは。相談員の田畑です。
私は、南あわじ市の旧南淡地区と言われる地域に移住してきました。この南淡ではそれぞれの地区にある八幡神社に十数基のだんじりが集まり、若人によるだんじり唄を奉納するのが春の風物詩になっています。4月1週目の日曜日は福良、2週目は賀集で、 3週目が我が町「阿万」の番です。
ここのところデータをもとに移住についてのブログを書いていましたが、今回は移住生活の一部として阿万の春祭りの様子をレポートします。
そもそも、
祭のレポートに入る前に、そもそもなんで私がこの祭りに参加することになったのか、、、という経緯の説明をします。
正直、人混みが嫌いで都会生活を離れた私からすると、人が集まる祭りのようなイベントは苦手です。なので、2年前の移住直後にコロナ禍の簡易版で行われた春祭りにも参加せず、観覧にも行きませんでした。
それが、昨年から町内の自治会役員を仰せつかったため強制参加です。しかも、主役であるだんじりの担ぎ手ではなく交通整理などの裏方として。
いよいよ、オープニング
当日は朝6時半にだんじりを保管している小屋に集合します。この日は夜中から小雨が降ったり止んだりの生憎の空模様でしたが、だんじりの担ぎ手となる10代~30代までの若手約30名が前日の宴会ではしゃぎ過ぎたのか寝不足の目をしながら、ぞくぞくと集まってきます。なかには、県外の大学に通っている子もいて、春祭りに合わせて帰郷してきたようです。
みんなで力を合わせて無事にだんじりを小屋から出し終えたら、全員で日本酒のお神酒を口にして、いよいよ出発。
高さ約6m、長さ約12mの大きなだんじりが町中の狭い路地をギリギリで抜けて、最初の目的地である阿万海水浴場を目指します。道中は担ぎ手が代わる代わる草津節の替え歌などを大声で唄いながらの行進なので、近所の人たちも何事かと顔を出します。
通常、海岸までは歩いて20分の距離ですが、そこを休憩も挟みながら約2時間かけてボチボチと歩きます。そして、海岸に到着すると14基のだんじりすべてが並びその姿は圧巻、、、なんだそうですが、今年は雨のため遠方の5基が海岸入りを諦めて、例年より少し小規模に。それでも10基のだんじりが並んで、順番にだんじり唄を披露している様子は、特別感漂う非日常の風景でした。
中盤の華、練り
そんな海岸でひと唄を終えたら、次はメイン会場となる亀岡八幡宮の境内に向けて移動開始です。ここでのイベントは八幡宮に入る前におこなわれる「練り」です。担ぎ手たちが全力で走りながら大きなだんじりを前に後に移動させることを「練る」と呼んでいて、前方に30mほどダッシュしたかと思うと、急ブレーキをかけて、すぐに後ろに向けてダッシュします。
これを15分から20分ほど繰り返します。その間も大きな掛け声をかけながら、、、
バスケットボール部員が全員で1トンもある自動車をコートの端から端まで全力で押しながら20分も往復ダッシュを繰り返している、というのが分かりやすい??表現でしょうか。とにかく、傍から見てると「しんどそぉ~」しか言葉が出ません。
↑この写真はプロが撮影したものです。やっぱり迫力が違いますね。
この頃、時計は13時をまわっていて、さすがの若者たちもお疲れモード。このあと、八幡宮にだんじりを駐車したら、しばしの休憩です。
ここからが本番!だんじり唄の奉納
少しの休憩を挟んで、いよいよだんじり唄の奉納です。この日のために約1か月間、週2~3回集まって、練習してきた唄を観衆の前で披露します。我が吹上町の演目は「朝顔日記」の一説です。男女のすれ違いを描いたラブストーリーなので、演者も男役と女役に加え、浄瑠璃の節に合わせて数人のソロパートと20数名全員が力強く謳うパートを堂々と歌い終えました。
拍手喝さいの中、降壇すると歌い手たちの顔にも安堵の笑顔が見られました。
ちなみに、唄の内容は言葉で伝えきれないので、興味のある方は我が「吹上町自治会」が開設したYoutubeをご覧ください。
(現在、登録者数わずか13名 (-_-;) )
こちらは、吹上町ではありませんが…
最後の体力を振り絞って
すべての町内の唄が終わると、あとは会場を後にするだけ。でも、これもまた時間がかかる。
と言うのも、メイン会場にはお客さんが多く詰めかけているので、若者たちにとっては格好の見せ場。退場の際に「練って」観客を盛り上げるんです。だんじり1基あたり10分間まで練ることを認められているんですが、昨年はここで1時間も粘った町内もありました。ただ、今年は雨も激しく降っていたからか、事前に時間厳守をきつく言われていたからか、意外と大人しく引き上げただんじりが多く、昨年よりは時短で終われました。
我が町吹上も10分ギリギリまで練ってから会場を後にして、いよいよ帰路へ。陽はすっかり落ち、照明を焚きながらの行進になりました。
それでも最後の気力を振り絞って(私じゃなく、若者たちが)1時間かけて町内に戻ると、地元の人たちが待っていてくれました。
そんなギャラリーを引き連れてだんじり小屋まで移動して、締めの唄。地元の人たち約50人の前で「朝顔日記」と「忠臣蔵~7段目~」を熱唱します。
最後の唄は声も掠れ、リズムを取る脚も疲れて動きが鈍くなっていましたが、気力だけで歌い上げました。集まった観客からは大きな拍手が送られ、ここでやっと今年の祭りが終わりました。
この時、時計は22時を少し回ったところ。。。みなさん、本当にお疲れ様でした。
観客ではなく、当事者として参加する地元のイベント、、、これも移住の楽しみです。