相談員ブログ

淡路島で一棟貸しの宿やってみた、理想と現実

 以前のブログでお伝えした一棟貸の宿ですが、昨年9月に無事オープンして今月で丸一年経ちました(祝🎊一周年!!)なので今回は一年やってみてどんな感じだったのかを備忘録的に書き留めておこうと思います。私は移住相談員として移住希望者さんとお話する機会が多いんですが、以前は農家とか、カフェがやりたくて移住したい!という内容が多かったのですが、最近は宿がやりたいという人もちらほらいて、そんな方の役にも立つかも。。。です。

 

私の愛読雑誌Casa BRUTUSでも特集されるほど、おしゃれホテルが急増中の淡路島

 

 

コロナ禍で急増した淡路島の一棟貸の宿

 私が移住した6年前、淡路島に宿はあったものの、いわゆる一泊二食付きの温泉宿や旅館がメインという感じでした。それがコロナ禍を経て、子育て世代ファミリーやカップルを中心とし、非対面のセルフチェックイン(もしくはチェックインの時のみスタッフがいる)で家一軒をまるまる貸し切るスタイルの宿の人気が高まってきています。

 

 私も子育てしていて思うのは、ホテルのレストランだと子供がじっとしていられず落ち着いて食事ができないし、そもそも宿の食事を子供が食べないという問題。。。キッチン付きの一棟貸ならいつものお気に入りのゴハンを作ってあげられますし、先に子供が寝てくれたら夫婦でゆっくり晩酌。。なんてのも素敵です(笑)

 

宿の窓からの風景。夜になると真っ暗で何も見えないんですが。。。

 

 

オープンするまでにやったこと

 宿をオープンするまでにやったことをまとめるとこんな感じ。

①保健所に相談

②物件探し

③該当物件が旅館業ができるエリアにあるか調べる

④リフォームしたり、備品を揃えたりする

⑤保健所で旅館業の許可をもらう(←面倒だったら行政書士さんに代行してもらえます。)

⑥予約サイトを作る、もしくは各種OTA(インターネット上でホテルの宿泊プランや客室を販売するサイト全般のこと)に物件を登録する

⑦予約スタート

 

 まずは①保健所に行って相談しましょう!淡路島の旅館業営業許可申請を担当する保健所は洲本市の淡路県民局の中にあります。私が相談に行ったときは「簡易宿所の手引き」的な冊子をくれて、それを元に素人でも分かるように親切に説明してくれました。年度ごとに内容が少しずつ変わるので、こまめに相談に行くのが吉。(保健所の職員さんは現場確認で事務所にいないことが多いので、相談があるときは事前に電話して予約を取ってくださいね。)次に物件探しですが、ここでつまづく人が多いと思います。今は本当に手頃な物件が少ないですもんね。。。あと意外と盲点なのが③の旅館業許可が降りるエリアかどうか。いい物件が見つかっても、学校や介護施設などが近くにある場合、そもそも許可が降りません。なので、いいなと思って急いで買ってしまったが、許可が降りなかった。という事態にもなりかねないので慎重に。

 

 ④のリフォームですが、今は建築資材、人件費ともに高騰しているので、初期投資がけっこうかかります。私たちは夫婦で出来るだけDIYで整えたのでだいぶ抑えられましたが、そうなると準備中は定職に就けないので、節約して自分でDIYするか、移住前にお金をしこたま貯めて移住する、もしくは自分は島で別の仕事をしてお金を稼ぎ、リフォームは工務店に頼む方がいいのかなど、色々なことを総合的に考えないとアカンです(汗)ちなみに私たちは夫の退職金をリフォーム代にぶっ込みました!!!

 

リフォーム前の物件

 

 ⑤の申請作業は、旅館業営業許可申請書という小難しい書類を書いたり、建物の図面なども必要なので、建築知識がないと難易度は高めかも。旅館業営業許可申請は、ここから見えるので興味のある方は見てみてください。そして待ちに待った予約サイトの作成!! 出来上がった部屋の写真を撮ったり、物件の説明文を考えます。自社の予約サイトをデザイナーさんに作ってもらうとウン十万の世界なので、私たちは、チルンというノーコードで予約サイトが作れるサービスをサブスク契約することにしました。あとは補助的にairbnbbooking.comというOTA(インターネット上でホテルの宿泊プランや客室を販売するサイト全般のこと)に登録。なぜこの2つにしたかというと、私は宿業を通じで国際交流したいと考えていたから、全世界的にユーザーが多いOTAを選びました。

 

airbnbのサイトは直感的に操作できて使いやすくて大好き

 

一年やってみて、どんな感じ?

 宿を作るまでは日々変わる作業にワクワクでしたが、いざ初めてみると予約管理や清掃など毎日同じことの繰り返しで変わり映えしない日々。飽きる人は飽きちゃうかも。逆に私は毎日毎日掃除を完璧にこなす事でなんだか心が整っていくような、この仕事が結構好きだったりします。

 

この前は保育園お休み、旦那体調不良でどうしようもなくて子連れで宿の掃除したけどなんとかなりました(汗)娘もこのお家がお気に入り。

 

 

 泊まる人と交流したいのと、最初に顔合わせしておいた方が家を綺麗に使ってくれそうかな思って、初期はチェックインの時だけ立ち会うようにしてたのですが、チェックイン予定の時間にちゃんと来る人も少ないし、待ってるのも疲れちゃったので立ち会いは早々にやめちゃいました(苦笑)その代わりちょっとしたメッセージカードをお部屋においておくようにしました。このカードに返事をくれるお客さんがたまにいて、それを読むのがちょっとした楽しみでもあります。airbnbbooking.comのレビュー書いてくれるのもとっても励みになります。

 

掃除に行ったときお手紙あるとほんと嬉しいです!

 

 そしてみなさんが知りたいのが、どれくらい予約が入るのか?ですよね。

 

 上に載せたcasaなんかに掲載されている人気の宿は半年先まで予約が取れないみたい。でもド素人が作ったインスタフォロワー400人弱の宿だとせいぜい毎週末予約が埋まる程度。でも三連休、年末年始、GW、お盆休みはほとんど埋まりましたし、春休みや夏休みは平日も結構稼働しました。airbnbbooking.comに登録しているので全世界から予約が入りますし、外国の方は平日に連泊とかしてくれるのでとってもありがたい。もっとマーケティングとか頑張ればお客さんは増やせそうですが、子育ての合間にやるにはこれくらいがちょうどいいな、というのが正直なところ。仮に月に4件しか予約がなくても平均単価が4万円くらいなのでパートに行くよりは気ままでいいなって感じ。

 

 ちょー等身大の起業でしょ。

 

 あと、旅行好きな私にとって好きな時にお休みできるのも宿泊業をやってて嬉しいなと思うところ。一年やってみて、全く予約が入らない時期が大体わかったので、来年はその時を狙って思い切って宿を閉めて家族みんなでゆっくり研修を兼ねた旅行に行きたいな〜と思ってます。

 

 あっ、ぜひ宿の予約もお待ちしてます。

 

onda

住所:兵庫県洲本市五色町鳥飼浦2599-632

予約サイト:https://www.chillnn.com/189b8e920338f/room

Instagram:https://www.instagram.com/ond_house/

 

この記事を書いた人

黒川香苗

黒川香苗

1984年岡山生まれ。大学卒業後、大阪の建材メーカーでデザイン開発を担当。退職後、夢だったゲストハウス開業に向け、生きた英語を学ぶため単身カナダへ。帰国後、開業に向けての準備をするうち、ひょんなことがきっかけで南あわじ市地域おこし協力隊に。卒隊後は淡路島に定住し、ADDress淡路島の大家兼フリーのデザイナーとして活動中。

このライターの記事一覧

Top