実りの秋を迎えた淡路島では、9月10月と週末ごとに各地で五穀豊穣を祝うお祭りが開催されました。布団だんじりの太鼓の音に心騒いだのは淡路っ子だけではないはずです。 今回は、子ども達が元気に育つように、淡路島がもっと元気になるように・・・そんな想いを持ち淡路島に移住された内藤潤さん(39歳)にお話を伺いました。
内藤さんはヴィッセル神戸で活躍した元Jリーガー。現在は「NPO法人ここからつながるスポーツ地球家族」の代表理事として理想を追う毎日を送っています。
プロ引退後、神戸ハーバーランドでフットサル場を立ち上げ、サッカーの普及と共に11年間子どもたちの指導に当たってきた内藤さんですが、淡路島の自然の中でサッカーを指導したいと考え計画を始めたのが3年半前のことでした。
そして、今年1月から3か月間淡路島北部の数か所で親子対象のサッカーの講座を開き、好評を得たのが弾みとなり、本格的な淡路での新たなスクール開校につながったといいます。プロ経験と10年以上のサッカー指導の経験をいかし、「こころとからだを育むイレブンプログラム : 淡路島サッカー塾」と題した講座を開催。ここでは参加親子のために「こころの教室」「食育教室」「からだの教室」というプログラムが用意され、子どものサッカーにおける技術向上だけではなく、プロを目指すために必要なメンタル的な指導や食べることの重要性を指導することで、子どもたちの人間的成長を親御さんを交えて考えていこうという内藤さんの深い想いが感じられます。
そしてそんな内藤さんの想いに感銘をうけた受講生親子からのリクエストに答え、今年6月にスタートさせたのが、Cocokara Genio Clube(ココカラジェニオクルービ)です。ジェニオとはポルトガル語で天才という意味。子どもたちが本来持つ才能と可能性を引き出すのが目的だそうです。取材に先立って練習の様子を見せていただきましたが、開校からわずか4か月とは思えない、子どもたちの見事なボールさばき!そしてイキイキとした顔でボールを追いかける姿や内藤さんの話を熱心に聞く子どもたちの姿がとても印象的でした。
この子どもたちのサッカーの指導をする傍ら、内藤さんは淡路島にNPOの拠点づくりのために昨年7月に一家で淡路島に移住後、この8月からはその拠点づくりのための準備場所を兼ねた東浦地区にある土地を借りて生活を送っています。500坪もあるという土地では野菜つくりや子どもさんとの外遊び、多くの友人やNPOのお仲間との語らいや食事をしながらの交流なんかも十分に堪能しているのでしょうね。
さて、内藤さんのご家族はというと、有機野菜の流通やその企画を経験し、オーガニックカフェや料理教室などを開催してきたという食に精通した奥さま、そして2人のかわいい子どもさん達。内藤さんのHPを開けば、淡路での暮らしを気に入っていることが一目瞭然です。
淡路島北部に位置する花さじきが特にお気に入りという内藤さん。ブラジルサッカー留学中に見た田舎の草原風景を思い出させてくれるといいます。淡路島に生まれ育っても淡路の自然やその魅力に気づいていない人たちに聞かせたくなりますね。
内藤さんは今後この淡路の地で、「みんなが集い、くつろぎ、味わい、遊び、子どもも大人も、そして植物や動物も共存しあえる、みんながひとつにつながる場をつくりたい」と拠点づくりの構想を語り、すでにその夢に向かって邁進中です。
その昔、夢に向かってサッカーボールと共に走っていた少年の気持ちのまま、これからも走り続けることでしょう。淡路島がぐんと魅力的になりそうな予感がしてなりません。
取材日:2011年02月11日