春の息吹に誘われて、あちこちに咲く見事な梅の花を眺めながら「海平の郷」を訪ねました。以前にも紹介したこの土地は、淡路への移住者が多く住む場所と聞きます。その理由も聞いてみようとオーストラリア出身のダレン・キャラガンさん(39才)と石田恵美さん(38才)ご夫妻を訪ねました。
ダレンさんと恵美さんの出会いはオーストラリア・ゴールドコースト。当時ワーキングホリデーの制度を利用して1年間オーストラリアに暮らしていた恵美さんをダレンさんに紹介したのは、自らも日本人の奥様を持つダレンさんのお兄さんでした。その頃からお2人それぞれが、今と同じように一目で安心感を与えてくれるような笑顔の素敵な人だったのでしょう。そう確信したくなるのは、初めてお2人に出会った時の強い印象からです。きっとお2人もお互いにその笑顔や明るい性格に魅かれ合ったのでしょうね。
恵美さんが帰国するまでには結婚を決めていたお2人。「国際結婚するなら妻の出身国に住む方がうまくいく」という理解あるお母さんのアドバイスで日本暮らしを考えたダレンさん。2年の間に来日を試み、英語講師の仕事を見つけることもできました。2002年、愛媛県の道後温泉で挙式し、めでたく「はなまる笑顔の国際カップル」の誕生と相成りました。
愛媛県というのは恵美さんのおばあちゃんが住むところ。恵美さんも一時期暮らした懐かしい場所ですが、転勤族一家に育ち、いろんなところに住んだ経験を持つ恵美さん。だからこそ、海外を含めどこに行っても持ちの明るさですぐにその土地に馴染めたのかも知れません。
結婚から約5年間、お2人は仕事の都合上、大阪に住んでいました。けれども都会の人込みや込み合った住宅に違和感を持ち始めたダレンさん。海の見える場所に住みたい・・・恵美さんと考えた移住先は、まず愛媛、それまでにダレンさんのお兄さんが移住していた北海道、そして愛媛への道として通り抜けていた淡路島。
神戸や明石への通勤圏であること、そして海の見える広々とした土地に住めること・・・。「淡路との相性がよかった」という恵美さん。当時神戸に住んでいたお父さんもこの土地を気に入り、恵美さん達の淡路への移住をずいぶん応援されたとのこと。
そんなお父さんが急逝、一時は移住をあきらめようかと考えたとも・・・。
けれども、お父さんも好きだと言っていた田舎での暮らしを踏み切ったダレンさんと恵美さん。後には、一人になってしまったお母さんも引っ越してきて一緒に暮らすことができ、正解だったようです。
移住1年になるお母さんも、車の必要性を感じペーパードライバーを返上。もみじマークをつけ安全運転で淡路の道を走ります。近所のお友達と木彫り教室に通ったりして、活動の幅を広めています。
もう一つ、移住が正解だった理由は恵美さんのご懐妊です。
「結婚8年目でやっと!淡路島でお利益があったかも。」という恵美さんは8月に出産予定。「ダレンのお腹の方が大きいでしょ!」とおちゃめに笑います。
一方、魚や牛肉、野菜などの淡路の豊富な食材がお気に入りのダレンさん。現在は淡路島内で英語の先生として多忙ですが、自らも釣りや野菜作りを楽しんでいます。特に野菜作りはご近所さんの指導もあって、すでに初級者の域を出ています。お手製のビニールハウス苗床で夏野菜栽培の準備に余念がありません。
周りに移住者が多く交流も密なご様子で、取材の日の夕方にもパーティーに招かれていると聞きました。「淡路の人はフレンドリー!」と絶賛するダレンさん。嬉しい話ですが、その「フレンドリー」という言葉、農家のお年寄りに気さくに話しかけたりするダレンさん自身にこそピッタリな気がしてなりません。
はなまる笑顔のカップルとお母さん、これからのあわじ暮らしが益々楽しみですね。
桜の咲く頃にはお花見会に!とご招待を受けウキウキ気分で帰ってきました。
取材日:2011年03月04日