初夏を迎えた淡路島。海の季節も間近です。
今回はそんな国道28号線の海沿いにあるNEIGHBORHOOD DINNING「TRICO」で、店主の米村幸起さん(35才)・梨恵さん(23才)にインタビューしました。
熊本県出身の幸起さんが初めて淡路島に来たのは今から12年前のこと。福祉大学を卒業後に就職したのが淡路島の病院でした。デイケアの仕事を通して地元のお年寄りや家族など淡路島の人とのお付き合いが始まったのもその頃です。温和で気さくな幸起さん。遠く離れた九州から来てくれたやさしい青年に好意を持つ人やファンは多かったことでしょう。
ところが、数年後、幸起さんは高校時代に体験したアメリカ訪問が忘れられなくなり、再び渡米を決意。淡路島から離れることとなりました。
アメリカでは映像や編集の勉強をしながらアルバイトもこなしていました。日本食の店では調理、そして居酒屋では接客も経験するうち自分でも店を持ちたいという思いがわいてきました。いろんな文化が混ざり合う土地での暮らしからでしょうか、多国籍料理をイメージ。その中にイタリアンも入れてみようと考えたことが現在のお仕事につながります。
ちょっとイタリアンも・・・という気持ちが、いつしかイタリア料理の魅力にどっぷりはまってしまったという幸起さん。中途半端ではなく、ちゃんとしたイタリアン一色、それでいて居酒屋のノリがある店をめざし本格的な修行生活に入ることを決心。
幸起さんが修行先に選んだのは、京都市内の本格イタリア料理店。回り道をしたせいで若手に後れを取った感はあったものの、それをバネにして4年間で学んだことや得たことは計り知れません。そんな中で出会ったのが鹿児島出身の梨恵さん。とっても初々しくて若いながらも、幸起さんの熱意や魅力をきちんと見抜いていたのでしょうね。
かくして独立した幸起さんが「TRICO」をオープンしたのは2008年11月。もちろん梨恵さんといっしょです。場所は神戸から約20分の淡路島東部。不動産屋さんを通して幸起さんが以前働いていた病院と同じ淡路市東浦地区に空き店舗を見つけました。
ただし荒れ放題だった店内や外回りの改装や手入れは容易ではなかったはず。初めは賛成しなかったという梨恵さんですが、今では店内や入口の看板などいろんなところに梨恵さんのおしゃれで若いセンスが活かされていて、ご夫妻の幸せな気分が伝わってくるような気がします。
九州の自然の中で育ったお2人のお店はやはり自然に恵まれた土地。近くには漁港や野菜の直売所。旬の食材を使ったイタリア料理は、ソムリエでもある幸起さんが勧めるワインとよく合うのでしょうね。
インターネットや雑誌を見て都会から訪れるお客さんも多いようですが、漁師さんや病院時代の知り合いなど地元の人もよく来てくれるとのこと。店名に“NEIGHBORHOOD DINNING”とあるように、ご近所さんが気軽に集まって楽しめるお店になっているようです。たまには米村さんご夫妻の笑顔とお料理、ちょっぴりワインも楽しみに仲間入りさせてもらいたくなりました。
取材日:2011年07月04日