立秋を迎えてもまだまだ暑いある日、淡路島の西海岸から山道へ入り、洲本市五色町の住宅地「リッチランド」に建つ1軒のお宅を目指しました。
海からほどよく離れた木々の美しい合間に今回の取材先、余川敏雄さん(68才)・深雪さん(63才)ご夫妻の家を見つけました。
3年半前に完成した自然の中にそびえるそのお家は、無垢の木材をふんだんに使った、贅沢な、また究極のエコハウスです。
このお家のデザインは深雪さんのお知り合いの設計士さんによるものですが、長年船の設計の仕事をしてこられた敏雄さんのアイディアや構想もたっぷりと盛り込まれています。風の通りや日の差す方向など完璧なまでに計算されています。
快適さばかりでなく、「電気代がかからないことも自慢です。」と嬉しそうに話してくれる余川さんご夫妻。エアコンなしは当たり前。オール電化をフル活用し、使用時間も考えて早寝早起きの毎日です。
さて、4時半起床のおふたり、そんなに朝早くからいったい何をするのでしょう?その答えは早朝ウォーキング。常に穏やかな笑顔で見るからに仲のよさそうな余川さんご夫妻ですが、朝もおふたり揃って1時間たっぷり6.5kmの道のりを歩くのだとか。
途中、顔を合わせる人にはご自分たちから挨拶を欠かさないといいます。爽やかで温かなご夫妻の笑顔を見ると、出会う人それぞれがホっとするに違いありません。お野菜やワカメをくれる人、おしゃべりを楽しみに待っていてくれる人も・・・。「僕たちが物欲しそうな顔に見えるんでしょうね」とお茶目に笑う敏雄さん。出身地でもあり転勤で長く暮らした福井県や、子育て時代を過ごした神戸での生活、また仕事からも離れ、全く自由でいられる今の生活に大変満足しているご様子です。
以前は学習塾を経営していたという深雪さんも、引退後は淡路暮らしを楽しみながら朗読ボランティア活動にも取り組んでいます。長年の念願がかなって朗読の講習を受け、洲本市内のグループに参加し、お友達も増えたことでしょう。
その一方、敏雄さんといえば、お庭の菜園の手入れや、深雪さんとの旅行のプラン作りに余念がありません。地図を広げたり、図書館で資料を借りたり、読書を楽しんだり・・・家中のあちこちにある本棚や異国情緒のあるインテリアを見ればどれも納得できます。
それぞれに長年懸命に働いてきたおふたりが、子育てを終え退職。今度は夫婦の自由な生活。毎朝一緒の散歩に始まり、それぞれの特技を生かしての活動もしながら、また夫婦そろっての旅に出かける・・・夢のようなリタイヤ生活、うらやましい限りです。
娘さんは仕事で沖縄に、おふたりの息子さんは幼少年期を過ごした神戸に在住ですが、「私たちは街よりも田舎が好き。」、「淡路の人は温かくてみんな親切ですよ。」と余川さん夫妻。温かいのは地元の人ばかりではありません。たまに遊びに来るお孫さんたちにとっては、余川さん達は「やさしくて温かい淡路島のおじいちゃん、おばあちゃん」なんですから・・・。
島の西海岸側からは、美しく見事な夕日を見ることができます。潮風のせいで住宅や車への塩害も懸念されますが、こちらのお宅はなだらかな丘を高くまで上がっているので大丈夫。そのうえ、テラスからは広がる海の眺望がフルに楽しめます。
今日もきっとおふたりでテラスでの朝食を楽しんでいるのではないでしょうか。
取材日:2011年08月19日