あちこちに花が咲き、すっかり春色の淡路島。島内各地でいろいろなイベントが繰り広げられています。そんな中でも、東北や福島への想いを込めて3月11日に開催予定されていた「揚がれ!希望の凧2013 in 淡路」の構想は感動的なものでした。
その仕掛け人、奈良昭彦さん(68才)を訪問し、お話を聞きしました。
淡路島に移住して約2年になる奈良さんは、現在お住まいの淡路市草香にたどり着くまでには、日本にとどまらず世界各国で活躍してこられた方です。
東京で生まれ、広島を経て神戸で中学・高校時代を過ごしました。その後、大阪から東京、名古屋ではお母様の介護も経験しました。建築士としてご自分の設計事務所も東京においていましたが、いつか田舎暮らしをしたいという希望をずっと持ち続けていたようです。
そんな気持ちを持ちつつも、設計事務所は開店休業のままJICA(国際協力機構)のシニアボランティアとしてブータン、セントルシアで2年ずつ都市計画や建築の分野で活動してきた奈良さん。それまでにも長年YMCAのメンバーとして多くの国々を訪れたものの長期滞在したことがなかったことから、「腰を据えて活動したかった」と振り返ります。
帰国後には、大阪女学院大学の非常勤講師として「NGOのマネージメント」を教授しながら田舎暮らしを準備し始めました。移住先は奈良さんが神戸高校時代に臨海学校で訪れた淡路島。ネットで見つけたその家からは、まさに奈良青年が海水浴を楽しんだ海が見えます。開発された住宅地ですが、住人は少なく別荘として夏に訪れる人も極めて少ないとか。奈良さんのお宅も中古物件でしたが、さすが、建築士のセンスと知恵で使いやすく快適なお宅に改築されています。ここなら趣味の音楽も集まってくる仲間と存分に楽しめます。
このように多彩な技術や経験をお持ちの奈良さんに、昨年第1回を開催した「揚がれ!希望の凧」についても聞いてみました。2年前の東日本大震災が起きたと時、すぐにでも復興支援に行きたいと考えたのですが、奈良さんはお母様の介護があり出かけることができませんでした。その後淡路島に移住してからも何か支援活動ができないかと考え続けるうちに思い浮かんだのがこのイベントでした。
ある時、内戦の続くパレスチナのガザで子ども達を元気づけるために凧上げイベントがあったことを知った奈良さん。すぐにYMCAをはじめ様々な仲間に声をかけ、瞬く間に協力者や参加者が増えていったといいます。その中には淡路島でできた知り合いもいて、またそこからも輪が広がり、当日は多くの大人や子どもたちの参加を得ました。
第2回となるはずだった今年3月10日に予定していた凧上げはなんとも残念なことに雨天により中止となってしまいました。けれども、奈良さんの呼びかけで準備された甲府、名古屋、新潟、沖縄、そして昨年に続きガザでも「希望の凧」が元気に空を舞ったとのことです。その様子が、いくつかのメディアに取り上げられています。
想いをカタチにするのは簡単なことではありませんが、さらりとやってのける奈良さんの行動力と心の優しさ。若い世代も見習いたいですね!
取材日:2013年03月15日