温暖な淡路島では田植えが終わり鮮やかな緑の早苗が美しい頃、淡路市大町にあるペンション「ターニングポイント・キッズ館」を訪れました。
目的は 昨年11月にキッズ館内にオープンした絵本カフェ「パクパク」でのインタビュー、そしてもちろんランチ・・・
市街地から車で10分ほど離れたこの場所は、山に囲まれ自然がたっぷり。子どもたちが大きな声を出して思いっきり走り回ることのできる開放感あふれる場所です。
このキッズ館やカフェができるまでの歴史をさかのぼってオーナーの東高志さん(49才)・志津香さん(46才)ご夫妻にお話をお聞きしました。
高志さんが淡路島に来たのはご両親が淡路市(旧北淡町浅野)でペンションを始めたことがきっかけでした。それまでは神戸で八百屋さんを経営していたご両親の人生のターニングポイントとも言えるペンション経営。もともとは山小屋を考えながら旅するうちに巡りあったのが、それ以前に淡路島に移住してペンションを経営していたご夫婦だとか。ご両親も淡路島が気に入り、ペンション経営を決心したのでした。
そんなご両親のペンションに魅力を感じ、神戸から駆けつけたのが20歳の頃の高志さんでした。マリンスポーツにも興味を持つ高志さんは、若い感性で常に新しいことに挑戦しながらペンションを支えてきました。20年前には大阪で日本ペンション協会に勤めていた志津香さんと出会い、結婚してからは家族全員でさらにペンションを盛り上げてきました。
そして、子ども連れのお客さんが気を遣うことなく楽しめるペンションを持ちたいという思いから8年前にオープンしたのが「キッズ館」です。その頃にはペンションのブームは下火になっていましたが、子ども連れの集客が当たり多くのパパ・ママと子どもたちに愛され、さらに夢が広がっていったのでしょう。
次に淡路島にやってきたカフェブームを見逃さなかったのが、高志さんと志津香さんでした。特に美大出身でずっと絵を描くことを続けてきた志津香さんには「絵本カフェを開きたい」という夢がありました。温かくてほんわかさせてくれる志津香さんの絵が飾られたペンション。その食堂に今回できたのが、絵本カフェ「パクパク」です。
壁に飾られたり本棚に置かれたりしたたくさんの絵本。ゆったりとした気持ちで我が子や孫に絵本を読んであげたくなるお客さんは多いことでしょう。でも「パクパク」を訪れるのは親子連れのお客さんばかりではありません。「子育ての終わったご夫婦が食後それぞれに絵本を開くのを見て嬉しかった。」と志津香さんが教えてくれました。
一方、絵本から飛び出したような可愛い名前のついたランチメニューの数々・・・腕を振るうのは高志さん。幼い頃から野菜に触れ、現場でも料理の腕も上げてきたのがよくわかります。親しみやすくて本格的、もう一度食べに行きたいと思わせる絶品ばかりです。
そんな高志さんの今後の夢は、地域の雇用促進ができるような「事業拡大」だとか。その堂々とした風貌と同じくらい頼もしいお話です。でもその傍らでこっそり語る志津香さんの可愛い笑顔と言葉もまた印象的でした。「天空の城ラピュタみたいに、外では揉め事があってもここはいつも平和であってほしい。大きくしなくてもこのままがいいんです。」
いつ訪れても変わらない場所、笑顔で迎えてくれるご一家。リピーターさんもそんな思いなのでしょうね。
取材日:2013年06月15日