淡路島の山々を彩っていた紅葉が色あせ、いよいよ冬の到来です。そんなある晴れた日に島の東海岸に近い淡路市仮屋地区を目指しました。今回の取材先は「山田屋」さん。
すでに島の内外で有名になっているジャム屋さんです。
漁師町の小さな路地の先で出迎えてくれたのは、淡路島に暮らしてもうすぐ2年になる山田修平さん(36才)・優子さん(36才)。2年目にしてすでに島の有名人って、どういうことでしょう?まずはそのあたりからお聞きしましょう。
山田屋さんは、ジャム屋さん。でもそれと同時にいちご農家さんでもあります。普段はいちごの栽培をする傍ら、工房ではいちごを始め、みかん、牛乳、トマト、梅などなど、淡路島の素材を使って年間30種類ものジャムを生産・販売しています。
大阪出身の修平さんと香川出身の優子さんの出会いはお二人の大学時代にさかのぼります。ともに高知大学農学部へ進学、志を同じくし卒業後には結婚、そして共に滋賀県の観光農園で7年間勤務。ブルーベリーなどの栽培からジャム作りなど多くのことを学び、独立への計画を進めてきました。
淡路島への移住へのきっかけとなったのは、それ以前に出会った淡路市在住の方の支援でした。いろいろな土地や人を紹介してもらい、現在のお住まいと工房、温室まで見つけることができました。現在もイベント開催への誘いなど常に関わってくれていると笑顔で話すご夫妻。淡路島の人々の温かさやつながりに満足の様子です。
そうそう、お二人はいちごを栽培されていますが、他の果物や原料はどうやって手に入れるのでしょう?やはり、それも淡路島の人々の協力があってのようです。果実や野菜をしっかりと生産している農家さんを見て回り、直接交渉したというのが優子さん。かわいくて穏やかそうな一面、勇気のある行動派でもあるのでしょう。今では13軒もの生産者さんとのつながりを持つというから感心するばかりです。
一方、優しさの中にも芯の強さが見られる修平さん。何年も使われていなかった古い倉庫を自らの手で改修。譲り受けた家具などを活かし、夫婦のセンスの良さが活かせれた工房兼店舗を作り上げました。
店舗での販売は週に1回金曜日と決めています。それもご近所さんからのリクエストにお応えしての開店だとか。お魚を分けてもらったり、野菜が届いたり、ご近所づきあいも順調です。今では、島外からやって来るお客さんも増え、寂しかった海沿いの小道にも新しい風が舞い込むようになったようです。
すでに着々と計画が進んでいるように思えますが、「今はまだ自分たちの第一歩。」と修平さんは言います。今後も自分たちのスタイルで考えながら、いずれ観光農園やカフェを開き、農を通して地域貢献したい・・・そんな言葉をいただき、感動を胸にして帰途に着きました。もちろん「山田屋」ジャムの瓶をしっかり握って!
取材日:2013年12月15日