三寒四温が繰り返し、淡路島に本格的な春が来ました。見事な彩の山桜を眺めながら向かったのは、淡路島のちょうど中央、南あわじ市倭文(しとおり)安住寺の民宿「清水庵」です。
出迎えてくれたのは、「清水庵」のおかみ1号、北 実佐誉(きたみさよ)さん(50才)です。とびっきりの笑顔、ここを訪ねるお客様はまずこの笑顔に癒されそうです。
まずは彼女の淡路暮らしについてお伺いしましょう。
この安住寺の土地は、実は「清水庵」のおかみ2号、北さんの母である清水育代さん(71才)が生まれ育った場所。子どもの時からしょっちゅう訪れては自然の中で思う存分遊んでいたのが実佐誉さんであり、おかみ3号の妹さんです。
長年都会で暮らしてきましたが、大人になってからも淡路島の魅力にひかれ、週末ごとに訪れ、家族や友達と素晴らしい景色や自然体験を楽しんできました。淡路島に住む弟さんやご親戚・・・この土地を愛し、手を入れてきた人々の頼もしさを感じながら、ある頃から実佐誉さんの夢が広がり始めました。
せっかくご先祖様が残してくれた土地をこのままにしておくのはもったいない。自分が作った安全な野菜や果物を食べ、自然の中で生活できるという贅沢を多くの人に味わってもらいたい。そんな気持ちが民宿「清水庵」につながりました。
もちろん、おかみひとりの思いだけではありません。長年鉄板焼き屋を経営してきたお母さんの清水さんも娘の思いに共感し故郷に戻ってきました。娘さんと共に料理に施設管理にと大活躍です。
親戚や友達、そして温かく迎えてくれたご近所の方々、多くの人に支えられながら、「清水庵」を盛り立ててきた実佐誉さん。民宿周辺に蜜蜂の箱を置いて養蜂に取り組んだり、コーヒーの焙煎に挑戦したりと・・・人に喜んでもらいたいという意欲に満ち溢れています。
2012年10月のオープンから1年半。すでに口コミで予約も増えて来ています。「筍や山菜、またフグを始めとする海の幸、風景や星空・・・淡路島の魅力を知ってもらいたい。リピーターが増えてお客様と家族みたいになりたい。」と実佐誉さんがいいます。
淡路島にルーツを持ちながら町の暮らしをしてきたからこそ、そんな気持ちが強いのかも知れませんね。これからも淡路島と町の橋渡しをしていただけることと期待しています。
取材日:2014年04月15日