梅雨を迎えた淡路島。うっとうしいばかりではなく、アジサイの美しさや稲の成長には欠かせない雨の季節です。そんなある日、淡路市志筑の商業施設カリヨン広場の一角にあるタイヨー珈琲&串カツ太陽を訪問しました。
まずはご自慢のコーヒーをいただきながら、元気いっぱいのオーナー、西岡誠子さん(37才)にお話を伺いました。幼いころから暮らす大阪で7年前からカフェラウンジを営んできた西岡さん。お店で使うぽん酢に玉ねぎのすりおろしを入れたことが、淡路島への移住のきっかけだったとか。もちろん、「玉ねぎと言えば淡路」は定説ですが、その淡路島がどのように西岡さんを呼び寄せたのでしょうか?
玉ねぎをまる1個すりおろして作ったという玉ねぎぽん酢がお客さんに好評だったことから、2008年に商品化。翌年には、さらにおいしくしようと淡路島産の玉ねぎを使ったぽん酢「ぽんたま」を販売し始めます。そのうち輸送コストを考え淡路島に工場と事務所を置くことを決心し、ラウンジは残したまま淡路と大阪の行き来が始まりました。
ぽん酢に使う玉ねぎの多くを淡路内の契約農家さんから仕入れていますが、自分たちの手でも栽培したいという思いから、市や地元の農業委員会に何度も相談し、最後には知り合いを通して畑を借りるにこぎつけました。時間を見つけては畑に足を延ばす西岡さんですが、頼もしい助っ人は、やはり大阪から通ってくる西岡さんの実のお父さん。農業経験がなかったお2人ですが、仕事仲間、そしてなんと畑のご近所のおばあさんまでが手伝ってくれているのだとか。きっと何事にも熱心に取り組む西岡さんを応援したくなる人がたくさんいて、彼女がそんな温かい人々を引き寄せる力を持っているのでしょうね。
やがて工場の資材置き場が手狭になってきて、近くにもう1軒の施設を借りることになりますが、今度はそこの空きスペースの利用を思いつきます。それが昨年の9月にオープンした「タイヨー珈琲&串カツ太陽」です。コーヒーやスイーツ、そしてもちろん「ぽんたま」や玉ねぎドレッシング「たまどれ」を楽しめるメニューもあります。広々としたフロアでは月数回の音楽イベントも開催し人気を得ています。
一方、店内や道の駅を始めとする多くの店舗では、やはりぽん酢とドレッシングが好評で一日に1500本もの売り上げがあります。現在もう4種の商品を開発中とあって、「淡路島で雇用機会が増え活性化につながるのでは」と話す西岡さん。実にありがたく頼もしいお話です。
大阪では子育てもこなしながら、商品開発の相談にのるなどコンサルタント業もこなすキャリアウーマン。西岡さんが運んでくる太陽のような明るい元気を必要とする人は数え切れませんが、とりわけ淡路島での今後の活躍が楽しみでたまりません。
取材日:2014年06月15日