実りの秋を迎えた淡路島では島のあちこちで秋祭りが繰り広げられています。そんな田舎の風景に引き込まれるようにたどり着いたのは「さをり織り工房・虹の森」。その住人、角谷由美子さん・満さんご夫妻に淡路くらしについてお聞きしました。
おふたりが大阪から淡路島に移り住んだのは2012年3月のこと。きっかけは、それまで製薬会社で働いてきた満さんが、ふと立ち止まったところからです。
「このまま働き続けて退職する時に満足して辞めることができるだろうか?いい人生だったと素直に喜べるのだろうか?」そんな思いから、転職・移住を考え始めました。ちょうど上の子どもさんが小学校卒業を控えていた頃で、移住するなら今だ、と決心したといいます。
その時点では再就職の目処がついていたわけではありませんが、決して反対することのなかった由美子さん。看護師の資格を持っていて、いざとなればということもあったと振り返りますが、それよりも心に秘めていたことがありました。
それは教室に通っていた「さをり織り」。淡路島に移住するならそこで教室を開きたい・・・そこから由美子さんの真剣な教室通いが始まります。大阪までの教室通いは移住後も続きました。猛特訓を受け、昨年とうとうご自分の教室を開くことができました。今後は、認定校を目指して頑張っていきます。
一方、移住からわずか半年で地元某企業の就職口を手にした満さん。ハローワークで紹介された仕事ですが、これまでの経験を活かすことができるとあって、運の良さを感じます。
運や縁といえば、やはりご家族が住むご自宅でしょう。移住当初は借家に住まい、良い物件を探していたところ、不動屋さんの案内で2件目に見せてもらったのが現在のお住まいです。築130年の古民家でありながら、その1年前までは持ち主が住んでいたため家の痛みもほとんどありませんでした。水回りも修理の必要がなかった上に、古民家再生の業者さんの提案で手作りのテーブルや階段の補修などがふんだんに施され、古民家の魅力があらゆる箇所で見受けられます。
そしてもちろん、すでに地元消防団や町内会の付き合いをこなす満さんの活躍は見逃せません。家の周りの大工仕事はお手のもの!「虹の森」の看板や表札もお手製です。
また、お父さんのお手伝いをする2人の息子さんたち…いなかの学校に初めは戸惑いもあったようですが、お友達もでき今では淡路弁をお母さんに教えてくれるくらいになったとか。
温かさを感じさせてくれる「さをり織り」。その工房には、こんな素敵な家族が暮らしています。生徒さんも増えつつあり、体験から仕立てまで習うことができる教室は癒しの場にもなっているようです。この冬用にマフラー作りに行きませんか?温かい古民家で由美子さんの優しい笑顔が待ってくれています。
さをり織り工房・虹の森
Webサイト:http://nijinomori.info/
取材日:2014年10月15日