淡路島では梅雨明けも間近でしょうか。雨に濡れるアジサイの並ぶ道を山へと向かい取材先を目指しました。今回お話を聞かせてくれたのは辻淳三さん(37才)ご一家です。
一家が現在の洲本市安乎(あいが)地区に住み始めたのは2011年。今から5年前のことですが、辻さんと奥様の三奈さんの出会いやあわじ暮らしはそれから数年前にさかのぼります。まずはそのあたりから聞いてみましょう・・・。
徳島市出身の辻さんは高校を卒業後、兵庫県内の専門学校で学び、1999年に救急救命士として淡路広域消防に就職されました。ここから始まったあわじ暮らしでしたが、当時は独身で交通や買い物に便利な淡路市志筑に住んでいました。
職業柄か穏やかでやさしい性格とあって、すぐに友達や仲間のネットワークを広げてきたようですが、そんな中で紹介されたのが、三奈さんでした。
見た目だけでなく心の美しさをも感じさせる三奈さん。岐阜県からの移住者ですが、彼女をこの国生みの島あわじへ向かい入れたのは、由緒ある伊弉諾神宮でした。短大卒業時に以前から興味を持っていた巫女の募集についてお母様を通して知り、応募したところ採用され、満了の5年間巫女としてこの神宮で神に仕え、現在も教婦として神宮に通います。
いざなぎ・いざなみの神がほほ笑んだのは、三奈さんの巫女時代のことでした。淡路島で出会ったお2人が結婚、3人の子どもさんに恵まれます。そして5年前に長男さんの就学に合わせていよいよ田舎暮らしとして引っ越したのが、現在のお住まいです。
知り合いから紹介された築40年の農家ですが、住人を失ってからはわずか1年だったため少しのリフォームで入居できました。そこに加え、自分たちの力で室内には薪ストーブを、そして屋外にはピザ窯まで設置しました。もちろん、薪は周りの山々から自力で伐採してきたものです。
徳島では都会暮らしだった辻さんですが、今では伐採し有効利用することで里山を守るというこの活動に賛同する仲間と「淡路里山を未来につなぐ会」を立ち上げ、代表を務めます。まだ動き出して1年ですが、すでにご自分の退職後を見据え、「自分たちだけではなく、次の世代の子ども達に引き継げるようにしたい。」と語ります。
その傍らには、3人の子どもさん達。木々に囲まれた大自然で思いっきり遊びます。家族で育てた野菜も笑顔と元気の源ですね。
隣保や町内会の付き合いもこなす辻さんは、田舎暮らしについてこう語ります。「田舎暮らしは多くの人が持つイメージほど甘くない。」テレビなどで紹介されるような「のんびりした生活はない。」とも。
常に働き、学び、行動する辻さんの姿を見れば納得です。
思いっきり遊ぶ子どもさん達の将来と里山の未来が浮かび、楽しみでたまりません。
淡路里山を未来につなぐ会のFacebookは「淡路里山を未来につなぐ会」で検索してください。
取材日:2016年07月15日