朝夕すっかり涼しくなり淡路島にも秋の風が舞う季節。今回は特に山々に包まれた自然の中でのインタビューです。
待ち合わせ場所の淡路市楠本にある「プレイパーク淡路島冒険の森」で迎えてくれたのは平野朗(あきら)さん(43才)。すぐ先には築40年の民家を借りたご自宅もあるようですが、爽やかな風の吹く「冒険の森」の一角でお話をお聞きすることにしましょう。
横浜育ちの平野さんですが、小さい頃からおじいさんと山菜採りに行くなど自然が好きな少年でした。特に海が好きとあって、20代の頃には沖縄に暮らし、農家民宿で働いたり、キャンプ生活を経験したりする中で生活のすべを身につけてきました。
その後に移り住んだ京都では野菜作りに取り組みはじめ、京都出身の奥様との出会いがありました。結婚してからもそれまでのガイドヘルパー、ヨガや体操教室の講師を務めるなど様々な経験を積んできました。
やはり自然が好きで、高校で有機農業を学んだ奥様と田舎暮らしができる移住先を考えるうちに、友人の勧めで来たのが淡路島です。海の輝き、山の緑・・・とにかく初めて来たときの印象がとてもよく、本格的な移住に向けて動き始めたのが、2011年のことでした。
まずは単身で、キャンプ生活をしながら念願の農業ができる土地と家を探します。たまたまイベントで知り合った人の紹介で、現在のお住まい、そして農地を提供してくれる人に巡り合うことができました。
「東浦地区は阪神間に近いためか、人々はオープンで、外から来た人を温かく受け入れてくれる。」という平野さん。
当初は副収入を得るために漁業のアルバイトもしましたが、今では手伝いを頼まれるほどの信頼も得ています。穏やかで人当たりもよい反面、根性のある頼もしさもあって、地元の人たちにも気に入られ、かわいがってもらっているようです。
いろいろな人との縁に恵まれ安心し、単身生活から半年後には奥さんも呼び寄せました。そして現在は2人の子どもさんと共に4人での生活を送っています。
農業に関しても、これまでの経験や失敗から多くを学んだうえで、淡路島では当初、政府から自立支援を受け、その土地に合った地域資源を大切にしながらのスタイルで、米作り、野菜作りを展開してきました。
京都にいたころからの販路もあった上でのスタートですが、さらに個人発送や自然食品店、島内のレストランなどにも販路を広げています。これらは7反にもおよぶ畑と2反の水田の管理をしながらの地道な努力があってこそのことでしょう。
「あこがれだけで移住や就農というのは厳しいけれど、僕自身は土にまみれドロドロになりながらも楽しんでいます。」と平野さんは言います。「別の職を持った上で家庭菜園から始めてみるというのもお勧めです。」とも。
それでも、大好きな淡路島で思う存分農業に取り組む平野さんの姿には多くの人が憧れ、応援しているに違いありません。
海、山、里が近い、それでいて都会にも近い淡路島が気に入って、子どもさん達とも外遊びが十分にできると笑顔を見せる優しいパパ。これからのさらなる活躍を地域のみなさんといっしょに期待したいです。
取材日:2016年09月15日