きっかけは淡路島での会社設立
若き移住者の井手康介さん(26才)。生まれは長崎県ですが、転勤族家庭に育ち関東地方など多くの土地での生活を経験してきました。広島の高校を卒業後、知人からの紹介で就いたのが「チューリップハウス農園」でした。
淡路島の洲本市五色地区は市街から離れた山間部にあり、農業に適した場所ですが、高齢化が進み休耕地となっていた土地を借り、開墾から始まった農園です。
2010年の1月に淡路島へ移住、4月の会社設立時から関わってきた井手さんですが、当時は社長を含め3人のみのスタート。移住や農業に対する不安はなかったのでしょうか?
「声をかけられた時は、面白そうだなぁと思いました。」何度か訪れたことのあった淡路島については、風光明媚な土地という印象がつよかったようですが、その頃はまさかその土地に移り住み農業に関わることになるとは考えていなかったでしょう。「大変なのはもちろんのこと。それでも楽しいんじゃないかと思った。」と振り返ります。日に焼けたたくましい体つきで見せる笑顔は、やはり若者の爽やかさにあふれています。
農園からレストランまで
現在チューリップハウス農園では4ヘクタールの土地を借り、お米、玉ねぎを中心とし、レタス、ピーマン、イチジクなど様々な季節野菜を生産。そして神戸市内のマルシェでは朝どれ野菜の販売、ネットでの販売も展開しています。玉ねぎはもちろんのこと、淡路産野菜を求める声も年々上がっているようです。
普段から農作業にかかわる井手さんですが、一方で販売や営業の仕事もこなします。また、農園内にある古民家を改修したレストラン「夢蔵」の営業にも力を入れていて、毎週末には取れたての安心安全な野菜や加工品を用意してお客様を迎えます。落ち着きのある和のセンスが光る店内では、食事だけでなく風景や鳥のさえずりまでゆったりと楽しむことができ、地元の人や雑誌の記事を見て島外から訪れるお客様も増えています。
農業を通して社会に役立つ会社でありたい
淡路島の自然や住みやすさ、人の好さを絶賛する一方、農業については「技術と計画が重要。」と語る井手さん。時期や量を考え、いかに効率よく作業するかなど、多くの知恵や工夫を、土地を貸してくれている人たちなど地元の方々から学び、それを活かしています。また、洲本市の農業青年会議でも若手農家の仲間とつながりが出来、交流や情報交換が出来ています。こういった淡路島ならではの縁やつながりを大切にしながら、「ボチボチと堅実に頑張りたい」、そう語る彼の目は輝きに満ちています。
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取材日:2017年06月15日