子育てを考えての移住
加藤さん夫妻のあわじ暮らしが始まったのは今から3年半前のこと。東京で出会ったご夫婦ですが、息子さんが誕生し、東京ではないもっと自然のあるところで子育てをしたいと考えていました。
そこへ東日本大震災がおこり、子どもにとっての食べ物、飲み物、空気まですべてのことに不安な毎日が続いたことがきっかけとなって、移住に向け具体的に動き出しました。
学生時代に絵画を学び、額縁に興味を持ち始めた康弘さん(44才)。卒業後は飲食店での勤務を経て、額縁専門店に就職し、7年間額縁作りの腕を磨いてきました。
手に職を持っての移住とはいえ、移住先探しには1年かかったといいます。ご夫妻の故郷も候補地ではありましたが、主に兵庫県内のいろいろな地域を、毎回そこに住むつもりくらいの気持ちで見に行っていました。
「淡路島への移住は軽い気持ちで考えていけない気がしていた。」と康弘さんが落ち着いた口調で振り返ります。淡路島では、自分たちの足で歩きその土地を見て回り、イメージができ決心がついたのだといいます。
人のつながりを大事にしたい
東京のハローワークで見つけたのはNPO法人淡路島アートセンターでの仕事でした。面接に来島した時には不動産屋を通して洲本市内に住宅の目星も付けていたという段取りのよさ!見事採用が決まってからはその家に引っ越し、スムーズなあわじ暮らしの始まりとなりました。
アートセンターでの1年間の雇用が終了した翌年には、やはり洲本市内の商店街の理事長から声がかかり、1年間イベントや事務仕事の手伝いをこなします。多彩な技術や能力を持つだけでなく人あたりのよさもあり、多くの人に信頼を受けるのでしょう。
そんな経験や人とのつながりを重ね、次に加藤さんが取り組んだのは、かねてより計画していたお店のオープンでした。NPOで働いていた時にイベントで知り合った南あわじ市津井地区の方からのつながりで、空き店舗を紹介されます。飲食もできる広いスペースで、もちろん額縁の工房やギャラリーのスペースもあり、ご夫妻に迷いはなかったようです。
地元の人に必要とされる店を
少々の改装を経て、昨年の6月に「NeKi額縁と珈琲」をオープンしました。慶野松原海水浴場のすぐ近くで、気軽に立ち寄れる温かい雰囲気のお店です。学校がお休みの時には子どもさん達もお店で一緒です。お料理は奥様ですか?と聞くまでもなく、「ほとんど主人に任せています。」と淡路生まれの小さな娘さんを膝に抱っこしながら史子さん(38才)がチャーミングな笑顔を見せてくれます。
お家のある洲本市内膳の地域でも子育てを通して地域に入れたというお二人。今では隣保長として地域のお世話を進んで引き受けています。「温かい地元の人や先輩移住者に感謝しています。」謙虚でおおらかなお気持ちが感じられる言葉です。
加藤さんの額縁はAwajishima Sodatete Market(@洲本市民広場)などにも出店されています。
詳しくはNeKiのHPをご覧ください。
動画
取材日:2017年09月15日