徳島へ行く途中に・・・
久保田智哉さん(32才)・シェリル・チーさん(33才)のお二人が淡路島に移り住んだのは2015年のこと。その始まりは、偶然や運のよさ、縁があってのことだったようです。
移住を考え徳島方面に向かうその日にあわじ暮らしを決定したというお二人に、そのきっかけをお聞きしましょう。
2009年、オーストラリア出身のシェリルさんが来日し、2011年に東京の服飾専門学校に入学します。翌年卒業後にはいったん企業に就職しますが、実はその企業で智哉さんも働いていました。けれども、お二人が出会ったのはその頃ではなく、その場所でもなく、半年後のハロウィンの日のことでした。日本で一番人の多い東京での偶然の出会い・・・赤い糸が繋がっていたに違いありません。
2012年にはシェリルさんが東京で自らのブランドcheryl cheeを立ち上げます。その後お二人は結婚、千葉に拠点を置き活動してきましたがが、便利性の高い土地での暮らしに徐々に不都合を感じるようになりました。もっと田舎の広々とした場所で思い切り仕事がしたい・・・そんな思いから田舎暮らしを考えるようになりました。
移住先を考えネット上の画像で見つけたのが徳島県鳴門市のウチノ海でした。きれいな海の写真に魅かれ徳島に向かったその日、たまたま立ち寄ったのが淡路島。
その昔、阿波(徳島の旧名)への道と呼ばれた淡路(阿波への路)ですが、智哉さんとシェリルさんの目に映った淡路島はただの通り道ではなかったようです。
徳島からの帰り道に・・・
淡路島の風景がすっかり気に入り、朝のうちにネット検索し「あわじ暮らし総合相談窓口」に連絡を取っていたのでタイミングよく相談員との面談を受けることができました。「徳島も見てきたけど、淡路島にします!」と宣言したお二人。動きの速さや決断力はおみごとですが、やはりここでもお二人の運の強さや「縁」を感じます。
現在のお住まいも、数か月間アパートで暮らすうちに、不動産屋を通して運よくお手軽価格で見つけることができました。島の北東に位置する淡路市浦地区の中古物件ですが、漁師町の中にあり、車通りも少なく静かな環境です。
ただ、狭い道を重いミシンや作業機器をすべて自分たちで運ぶのはずいぶん大変な作業だったことでしょう。アトリエとギャラリーを含め家の修繕やペンキ塗りはすべて自分たちでこなしたというから驚きです。とっても素敵なカップルで、仲のよさに加え抜群のセンスがあってこその作業だったと感じられます。
動画で発信、ブランドcheryl chee
シェリルさんが手作りするのは1点物の独創性豊かな服の数々。智哉さんがその様子を動画に収め世界に向けて発信中です。華やかに見える服飾業界ですが、複雑で細かい作業を経て作品が出来上がる様子が上質の画像で紹介されています。
「今後はファッション業界でスポットが当たっていない、縫製工場や職人さんなどの辛さなど、華やかではないリアルなドキュメンタリー動画にも取り組みたい。」と智哉さん意欲を見せます。「都会で使うエネルギーをここでなら自由に有意義に使える。」とも。その隣では「淡路島にクリエーターの移住者がもっと増えて欲しい」とシェリルさんが、いいます。このお二人のさらなる活躍を期待せずにはいられません!
cheryl chee
取材日:2017年10月15日