淡路島は、梅雨明けからすぐ猛暑日続きとなり連日「熱中症警戒アラート」が発令中。。。そんな夏のとある日、島の桃源郷と私が勝手に思っている「千草竹原集落」に取材のために向かいました。さすが桃源郷なだけあって、体感-5度くらい涼しい気がしました!(笑)
「千草竹原集落」とは、洲本中心市街地から車を使って約15分で到着する美しい里山の風景が広がるエリア。毎年梅雨時期になると沢山のあじさいが咲き誇る観光農園「あわじ花山水」がある場所としても知られています。その他、域学連携(学生や教員が地域の人々と一緒に地域の問題解決につながる実践活動を行うこと)で、大学生たちと集落内で小水力発電を行ったり、集落のさらに奥にある山のロングトレイル(登頂を目的とする登山とは異なり、登山道やハイキング道、自然散策路、里山のあぜ道、ときには車道などを歩きながら、その地域の自然や歴史、文化に触れることができるルート)の開発を行ったり、積極的に外部人材を受け入れているオープンマインドな地域です。
そんなちょっと変わった限界集落に地域おこし協力隊として着任したのは、東京から洲本に移住した小林力さん。任期中は集落の交流拠点を作るため、集落の古民家DIYに奮闘!!!そして、卒隊した現在は千草竹原に定住。現在はWebライター・デザイナーをしながら、集落内でのビジネスを立ち上げようとしているとか。今回は、そんな小林さんに限界集落での仕事についてお話を伺ってきました。
子育てを考えて地方に移住
淡路島に来る前は東京でIT関連のお仕事に従事していたという小林さん。夫婦揃って長時間労働でバリバリ働いていました。そんな小林家、めでたいことに2019年の9月に第一子が誕生します!! 子どもが生まれてから夫婦で「将来の暮らし方」について話し合う機会も増え、「子どもたちと過ごす時間を大切にしたい」「もう少し働く時間を減らしたい」「働き方と暮らし方を見直したい」という話になることが多くなってきた。そんななか、
現状を変えるために出てきた策は「地方移住」
子育てをする上で「実家の助けも借りられたら」との思いもあり、移住するなら妻の実家のある兵庫県がいいのではということで、夫婦間で話がまとまります。その後は、候補先となる自治体の担当者の方と移住相談を重ねたり、オンラインの移住相談会に参加したりして、8か月ほど情報収集。その中でも、旅行で何度か訪れたことがあった淡路島は気候が温暖で神戸も近くて便利なので暮らしやすいのでは?と思い具体的に検討を進めていったそう。
その後、移住相談員や先輩移住者からのアドバイスを参考にし、地域おこし協力隊の制度を利用し移住。移住検討開始からちょうど一年後のことでした。
古民家DIYは二度とやりたくない😂😂
地域おこし協力隊として洲本市で働くことになった小林さんのミッションは「千草竹原集落の空き家を活用して地域交流の拠点(ゆっくりと滞在できるところ)を作ること」。任期中は域学連携でやってくる大学生と共に空き家の片付けをしたり、大工さんと一緒にDIYしながら一歩一歩ミッションを形にしていきました。
-古民家DIYって、田舎暮らしに憧れる人がやってみたいと思うことの一つだと思うのですが、実際やってみてどうですか?
正直にいうと、二度とやりたくないですね(笑)めちゃくちゃ大変なので……。でも、応援してくれる人や、実際に手伝ってくれる人がいたこと、協力隊のミッションだったから、改修を進めることが出来たと思います。改修を進める中で、関わってくれる人が増えてきて宿泊施設の必要性をますます感じました! やはり、宿泊できる場所がないと関係性の濃度はなかなか高まらない。なので、この古民家に早く泊まってもらえるよう、引き続き準備を進めていきたいと思っています。宿泊施設が完成したら、域学連携の関係者はもちろん、僕のような移住希望者が気軽に移住体験できる場所にもしていきたいなと考えています。
地域の仕事をすると、生きている実感が得られる
-現在は、古民家DIYに加え、Webライター・デザイナーなどをされているとお伺いしました。今後さらにやっていきたいことがあればお聞かせください。
千草竹原には今面白いことや人が集まっています。竹原集落にて40年以上栽培されてきた原木椎茸栽培を事業継承した人がいたり、あじさい園横にはキャンプ場もオープンし、ここ数年で確実に盛り上がってきている。そんな点を自分の持つITの経験を活かして線にし、もっと強力なコンテンツにしてその先の未来を見られたら面白いと思っています。具体的には、自分が管理する古民家を「山暮らしの解像度を上げられるような体験が出来る場所」にしたり、旅行業の資格(地域限定旅行業務取扱管理者)は取得済なので、千草竹原の旅行プランを学生さんたちと一緒に作ったりもしたいですね!
Webライター・デザイナーなどはいわゆるライスワーク(お金を稼ぐための仕事)の一面はありますね。移住先になんら人脈や土地資源などを持たない僕らがその土地でご飯を食べていこうと思ったら、ある程度最初にお金が要ります。家族もいるので、初期投資が少なく利益率が高いWeb系の仕事が僕にとっては最も「現実的な手段」でした。ここで稼いだお金をその土地での事業に投資していくつもりで仕事をしていますね。他方で、今準備している古民家を改修した民泊事業などの地域の仕事は自分の生活にも密着しているからか「生きている実感が得られる」いわゆるライフワーク(やりがいのある仕事)といった感じがします。
都会でパソコンの画面に向かい続ける「ITの仕事」だけやっていた時は正直、生きている実感が得られない時もありました。だからここでは、ライスワークとライフワークのバランスを大事にしていきたいと思っています。
同業であるライターさんへの取材ということで、現地に行くまでは若干緊張していましたが、小林さんがとても気さくな方でホッとしました(笑)古民家の改修もだいぶ進み、協力隊中に借りていた家を手放し、4月からは改装中の古民家に引っ越したという小林さん。通いではなくなったことでますます山暮らしの解像度が上がっていきそう! ここからどんな千草竹原のコンテンツが生み出されて行くのか、今後がとっても楽しみな取材でした。(FIN)
KOBAYASHI BASE
取材日:2024年07月25日