移住者の声
田中和久さん・田中容子さん

小学生の頃から夢見ていた、あわじ暮らし

職業:飲食店経営 移住年:2022年8月 前住所:大阪府八尾市 現住所:兵庫県淡路市

 10年間の大阪⇔淡路島の二拠点生活を経て、2022年に島に完全移住。翌年6月に淡路島の里山に自家製の発酵調味料をふんだんに使った「花ちらし御膳」や「発酵たい焼き」などのスイーツが味わえるカフェを淡路市にオープンさせた田中夫妻。リタイヤ後に島移住してカフェ経営という、まさに「絵に描いたような憧れの暮らし」を実現されました。その経緯をインタビューするため、チラチラと雪降る2月初旬のとある日、淡路市木曽下にあるお店に向かいました。

 

山の上にある田中夫妻の住居兼店舗

 

小学生の頃から淡路ファン!

 大阪府八尾市という「ザ・大阪!」なまちで生まれ育った、生粋の大阪っ子な和久さん。釣りが趣味の家族と幼い頃から、由良(淡路島の漁師町)にちょくちょく遊びに行っていたそう。いつものように大阪から買ってきた釣りエサで釣りを楽しんでいたら、全く釣れない。。。そんな様子を見るに見かねた地元のおばあちゃんが、

 

 「ウニ食べるか〜?」

 

と一言。お言葉に甘えてウニを食べるととっても美味しくて感動!そのまま釣りの話になり「釣りエサどこの使っとるんや?」と聞かれたので、「大阪で買ってきたやつです。。」と答えると、

 

 「そんな餌では釣れないよ、淡路の魚は淡路の虫を食べて育ってから。」

 

と言って、そこら辺の岩場でささっと釣りエサの虫を調達してきて、和久さんにくれた。この時、島民の人懐っこさや親切心に触れた和久少年は、「人生の最後は淡路島に移住する!」と固く決意したそうです。

 

海もいいけど、山の景色もいい

 その後、同郷の奥様とめでたくゴールインした和久さん。結婚してからも「人生の最後は淡路島で過ごす」とひたすら淡路島移住をプレゼンしていましたが、奥さんからは、「そんなに行きたいなら、一人で行ったらいい。」とずっと相手にされていなかったそうです(笑)そろそろ定年後のことも考え出す40代後半、移住の視察で3年ほど島に通っていた時もありましたが、その時でさえ、

 

  • 和久さん=真剣に家探し!!
  • 容子さん=楽しい旅行気分〜♪

 

のような感じで、なかなか淡路移住に乗り気にならない様子の奥さま。淡路島の良さを伝えるため、交通の便の悪い・冬の寒さが厳しいなど、他の移住候補先にあえて連れて行ったりしたこともあったとか😂😂😂 そんな容子さんも心の中では、生まれも育ちも大阪だったし、老後は田舎暮らししてもいいかなとは思っていたそうです。

 

 続いて、肝心の家探しのお話。まずは、「カフェが出来る場所」という条件で、物件探しを始めます。そんな中、淡路島のカフェ巡りの中で出会ったのが、淡路島の移住支援をしているあわじFANクラブでした。(※当時は移住支援施設の中にカフェがありました。)初めは海沿いの物件がいいなと思って、海沿いの物件ばかり見ていた。その中でも西浦(淡路島の西側、海岸沿いのエリア)が気に入ったので、相談員さんに相談すると、

 

 「冬が寒すぎるから、絶対やめときーっ!!!」

 

と必死で止められたそうです(汗) 後日、気を取り直して、山の中にあるペンションを訪れた田中夫妻は山からの景色の美しさに感動します。そしてあっさり、山の中で景色のいい場所を探すよう方針転換。

 

田中夫妻のお店(ふく福)の窓からの景色も最高!

 

 この方針転換が功を奏したのか、不動産屋さんから2軒の里山物件を紹介されます。1つ目は、平屋で駐車場が広くて、リビングが大きい家、2つ目は、2階建で家までの道が狭い家。カフェ営業を考えていた田中夫妻は前者を選択。後者も同時期に家を探していた移住者さんがすぐに購入したそうです。2月に内見して4月に購入というすごいスピードでした!

 

 それから定年までの約10年間、大阪と淡路島の二拠点生活を楽しんだ田中夫妻。途中から和久さんが単身赴任で岡山に引っ越すことになりましたが、ちょうど真ん中の淡路島に家があったので、そこで落ち合うことが出来、便利だったそうです。

 

カフェのテーマは発酵、なぜ?

 ーところで、カフェのテーマが発酵なのは何か理由があるんですか? 

 旦那が退職の5、6年前に岡山に単身赴任していたんですが、一人暮らしだったからか、飲み過ぎ食べ過ぎで体調を崩してしまったんです。そのとき、身体にいいという発酵食品がちょうど話題になっていて、気になったんです。そして、旦那さんの不摂生をきっかけに発酵について調べていくうち、どんどん興味が湧いてきて、淡路島でやるカフェでも発酵食を提供したいと思うようになってきたんですよ。なので、カフェのメニューについて、淡路島で仲良くさせてもらっている、発酵食について詳しい薬膳カフェのオーナーさんに相談に乗ってもらいながらメニューを考えていきました。

 

 相談する中で、ふと、パート時代に作っていた「ちらし寿司」のことを思い出しました。気軽に作れる割にすごく売れ筋商品で、これはお店の看板メニューになるのでは?と思い、薬膳カフェのオーナーさんにも意見を聞いてみると、

 

 「もう少し彩りを工夫して、映える様にしたほうがいい。お客さんは事前に料理の写真を見て、お店に行くか決めるからね。」

 

とアドバイスをくれたんです。なので、鮮やかな色の副菜(もちろん身体のことも考え醤油麹や塩麹などの発酵調味料を使って仕上げています)を添えるなど、見た目にもこだわってメニューを開発していきました。カフェがオープンすると観光客はもちろん、口コミで地元の人も食べに来てくれました。その中でも淡路島の情報誌danに掲載された影響は大きかったですね。掲載されて一年以上経ちますが、いまだに「dan見て来た」と言って来店される方が多いことに驚いています。

 

彩り豊かな看板メニュー「花ちらし御膳」
danに掲載された記事(danのHPより)

 

 ほんわかした雰囲気が素敵な田中夫妻。そんな見た目とは裏腹に、旦那さんは「人生の最後は淡路島に移住する!」との強い決意を持ち、移住を計画的に進められてきました。ですが、諸条件を踏まえ、「海沿いでカフェをやる」というこだわりはあっさり手放してしまうという、柔軟さも併せ持っていました。そんな臨機応変さが夢を叶えられたポイントかなと話を伺う中で感じました。何が自分たちにとって一番大事なことか?を真剣に考えて、あれもこれもと欲張らず、いい塩梅を見つけられるかが、移住成功の鍵だと思います。移住希望のみなさんもぜひ、何を捨てて何を得たいのか、自分の心に問いかけて家探しをしてみてくださいね!

 

 余談ですが、カフェのテーマが「発酵」になったきっかけが、「旦那様のことを思って」というところにちょっとうるっとした私です。(FIN)

 

ふく福

〒656-2154 兵庫県淡路市木曽下482番地

Webサイト:https://www.instagram.com/fukufuku_awaji/

取材日:2025年02月05日

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