加藤家のみなさまとの出会いは、DIYリノベで作っていた宿のインスタグラムに届いたDMからでした。淡路島に移住してDIYで古民家をリノベしながら暮らしているとのことで、私たちの宿に興味を持ってくれたみたいでした。リノベ中の現場を見に来てくれたり、逆に加藤家の古民家を見せてもらったりと交流が続いていました。旦那様はITエンジニア、奥様は整理収納アドバイザー、全国どこでも働けるスキルを持ったお二人が「なぜ淡路島を移住先に決めたのか?」じっくりお話を聞かせてもらいました。
両親の提案で島移住を検討し始める
淡路島に移住する前は、京都駅の南、東寺にあるマンションに家族5人で住んでいた加藤家。同じマンションの隣りの部屋に英子さんの両親も住んでいました。程よい距離感で両親のサポートを得ながら、パートとの掛け持ちで3人の子育てに勤しんでいた英子さん。そんな暮らしの中、両親から、
「老後は海の近くで暮らしたいから、私たちはどこかの島に移住しようと思っている」
と相談を持ちかけられたそう。ちょうどその頃、子供たちの愚図りがひどくて、もしかして子供たちには都会の暮らしが合わないのかなあ?っと感じていた加藤夫妻。ちょうどいい機会だし、私たち家族も両親と一緒にどこかの島に移住してもいいかもなあと考え始めます。思い立ったが吉日、「両親の部屋」と「自分たちの部屋」を同時に売りに出すことに。そして、両親は(母親の)故郷の長崎市をはじめ、博多、糸島、五島列島など、九州エリアを中心に移住先探しの旅に出かけて行きました。
マンションを売りに出してはみたもののすぐに売れないだろうから、売れるまでの間にゆっくり移住先を探していこう。ゆっくり移住を進めるつもりだった加藤夫婦ですが、すぐに「両親の部屋」が売れてしまい、その1ヶ月後に「自分たちの部屋」も売れてしまいます。そんなこんなで、急いで候補に上がっていた淡路島の視察に出かけました。
移住に関しての条件
- 両親:島、海が近い、徒歩圏内にスーパーや大きい病院がある
- 加藤家:徒歩圏内に子供達の学校がある
盛士さんのリサーチで上記の条件を満たすのは、淡路島の中では洲本中心部しかないとのことで、そのエリアにある物件に目星を付けて内見。ですが、候補の物件は雨漏りがひどく、天井には穴が空いていて、空が見えていたそうです😂😂 ショックを受けていた加藤夫婦に不動産屋さんから神の一声、
「最近売りに出されたばかりで、まだネットに情報出せていない物件があるのですが、見てみますか?」
不動産屋さんが紹介してくれたのは、趣のある平屋の古民家でした。中心部からは少し離れていますが、スーパーや大きい病院、学校も十分徒歩圏内で、静かで住みやすそう!ということで即決。視察1日目にして住む家が決定という奇跡を起こします。
家を売ろうと決め、移住完了までの期間はなんと約4ヶ月。その後、たまたま同時期に売りに出ていた隣地を購入し、両親はそこに新築で平屋を建て、暮らしているそうです。

勤めていた会社にリモート勤務の交渉
一方、IT系の会社に勤めていた盛士さんは、マンションを売りに出すと同時にリーモートでの勤務は出来ないか、会社と交渉を始めます。ちょうどコロナの時期も重なっていたこともあり、交渉は成立。勤めていた会社で初めてのリモート社員となりました。島に来てしばらくは会社員という形で働いていましたが、現在は元職場の仕事を業務委託でこなしながら、フリーランスのITエンジニアとして独立。忙しいながらもマイペースに仕事をこなしているそうです。

家も見つかり、仕事はそのままという好条件で淡路島に移住。それからは仕事の合間を縫って古民家の片付けやDIYにもチャレンジしました。慣れない作業が多く、時には夫婦でぶつかり合うこともあったけど、住みながら自分たちの暮らしやすいように仕上げていっています。そして、古民家DIYで一番大変だったのは、大量の残置物を片付けることだったそう😭
島に来てから、釣りを始めた盛士さん。海が近い生活を満喫しているそうです。
自分の経験をみんなにシェアしたい
島に来てから、整理収納アドバイザーとしてオンラインを中心に活動している英子さん。「断捨離」にハマるきっかけとなったのは、京都のマンション暮らしの経験でした。限られたスペースの中にぎゅうぎゅうに押し込まれた家族の物を一つ一つ点検し、要る要らないを整理し、手放していくうちに、人生が上手く回り出したそうです。

コロナの時にふとしたきっかけで始めたインスタグラム。時間のある時にインスタの投稿やライブ配信で、断捨離のコツやおすすめグッズなどをシェアしていると。。。気づくとフォロワーが1万人を超えていました! そして2023年には、念願の整理収納アドバイザー1級を取得し、2024年から本格的にオンラインお片付けサポートの活動を開始します。相談に乗って役に立てるのが嬉しいと語る英子さん。ついつい張り切って頑張りすぎちゃうんです。とお茶目な一面も。
こんな感じで怒涛の移住を経験した加藤家。当時12歳、9歳、6歳だった3人の子供達は、京都を離れる時は「友達と離れるのが寂しい」と言っていましたが、今ではすっかり島に馴染み楽しい移住生活を送っているそう。淡路島の子供達はそれぞれ自由に生きている感じがするし、元気な子が多いと思います。長男が風邪を引いた時は心配して家まで様子を見にきてくれて、優しいなあと思いました。心配していた教育環境も、京都より淡路島の方が教育レベルが高く、長男は勉強について行くのに必死でした💦

加藤家の移住は一見無謀ともいえる、「見切り発車」をしているようですが、お話を伺って思ったのは、自分たちの選んだ道を正解にしていこうとするポジティブなパワーでした。マンションが売れた時には即行動し、いい物件に出会ったら即断即決する。古民家DIYで意見がぶつかってしまっても、その都度夫婦でしっかり話し合う、DIYに詳しそうな人に話を聞きに行ってヒントをもらえるよう行動する、とか。思いついたことをフットワーク軽く行動に移すのってシンプルだけど大事なこと。
移住相談の中でも、「いい家が見つかれば移住したいのです」とか、「移住したいけど、いい仕事がない」などとおっしゃる相談者さんがいて、なんだかモヤモヤする時があります。理想の家や仕事が完璧に揃うことはまずないです。移住も断捨離ではないですが、「自分の大切にしたいことは何か」をしっかり考え、優先順位をつけた上で不必要な理想を手放していくと、上手く進み出すのでは?と感じます。
ひで | 40代からの人生を整える片付けの先生(英子さんのInstagramのアカウント)
取材日:2025年05月27日