みなさんこんにちは、藤田祥子です。コピーライターと週末カフェ店主とふたつを欲張りに仕事にしてきた私ですが、この度カフェノマドをクローズすることとなりました。
かつて職員室と保健室だった場所にカフェスペースを構えていました
2009年に淡路市の生穂第二小学校の跡地ではじまったノマド村。この場所で2016年から、週末だけオープンするカフェを担当していました。住んでいたのは洲本市だったので、30分ほどかけてノマド村まで毎週通っていました。
ノマド村は、ヴェルナーペンツェルさんというドイツ人の映像作家さんと、茂木綾子さんという日本人の写真家のご夫婦がはじめたアーティストのコミュニティです。現在は、アーティストに限らずシェアオフィスとして利用する人がいたり、現代美術の作家さんが住まわれたり、藍染の作家さんがアトリエとして借りていたり。さまざまなひとが行き交う場所です。
ノマド村のアイドル、にゃーさんの頭。みんな好きに呼んでいるので名前はない
この場所は、偶然も偶然。たまたま話がまいこんできて、カフェをやったこともない私が5年前にひきつぎました。
それまでもノマド村の住人の方や、ご近所の移住者さんがお店を切り盛りしていたのですが、まさか5年もやることになるとは思いも寄らないことでした。
毎年春に、スモークツリーをたくさんもってきてくれるご近所さん。うれしくてニコニコな私
ノマド村がある場所に住んでいたわけでもないので、ご近所さんとどう出逢えばいいのかもわからず、とにもかくにも必死で毎週お店をオープンしていました。最初の2ヶ月は会社員をしながら、週に7日間働きっぱなしで、フル回転。
観光客の人がおおくて、どうやったらご近所さんが来てくれるようになるだろう。そんなことを考えていたら毎週足を運んでくださって珈琲を飲んでくれるおじいちゃんが現れるようになりました。次第に、その奥さんがお花やお野菜や果物をたくさんもってきてくれるようになり、夏前には甘夏をたくさんもってきてくれるご近所さんが現れたり、毎週欠かさずノマド村の無人販売にお野菜を提供してくださるご家族がいたり。
少しずつ顔見知りも増えて、淡路市に住んでいないのにご近所さんよりも顔見知りな人がどんどんお店のまわりに増えていきました。
わたしは4月から11月の土日だけをカフェのオープン日としていました。春の一番最初の日には運動場に満開の桜がさきほこるのですが、ご近所さんがお花を目当てに集まってきて一緒にお花見をしたこともありました。
この正面に桜が一面咲き誇っています。みんな笑顔で乾杯!
知らないことだらけで、無我夢中にはじめたお店でしたが、この場所をきっかけにたくさんの人に出会うことができました。
ノマド村は、誰が訪れても心地よくて、どんな風にすごしても受け入れてくれる。とても懐の深い場所です。とっても大切で、こんな素敵な場所は他にないだろうなと思います。
それでもこの場所を後にしようとおもったのは、ノマド村の力をもう借り切ったなという気持ちが芽生えたからでした。
移住して間もない頃、わたしは旦那さんの奥さんと紹介されることが多々ありました。それがいやだったわけではないけどなんとなくモヤモヤして、「何者でもない感」をどこかで感じていました。けれど、広く深いノマドの胸を借りて、のびのびとカフェをさせてもらって、わたしはいつしか「ノマドのしょうこちゃん」と呼ばれるようになりました。
何者でもなかった私を、ノマドは「しょうこちゃん」にしてくれたのでした。
ここにいなければ、あのとき「私がやろっか?」って言わなければ、誰にも出会うこともなく、私は何者でもないままだったかもしれない、と思います。
私が私になれたこと。
自分の歩く一歩に自信をもてるようになったこと。
それに気がついて、この場所の力が必要な人に受け渡そう。そして、自分の場所を持とう!と決めました。来年の春以降に、洲本の市内に新しい拠点を構え、活動をはじめたいと考えています!
11月にカフェを終えてようやく一息。というところですが、来年にむけてまた新しく考えることが増え、たのしいきもちで胸がいっぱいです。春には移住して満6年、7年目の暮らしがはじまります。
わたしはまだまだこの島で、たくさんの人に出会って、冒険を続けたいと思います。ノマド村、そして私が運営していたカフェノマドに訪れてくださった皆さん。ありがとうございました。
次の新たなる冒険をお楽しみに!この旅の仲間は、いつも募集中です!笑。