さわやか秋晴れの日に淡路島の最南端、南あわじ市阿那賀(あなが)の「晴海ヶ丘」を目指しました。以前にご紹介した移住者の村河さんやCafeカモメテラスの井上さんもこの「晴海ヶ丘」にお住まいですが、すぐお近くの「smicco」さんが今回の行先です。
かわいい笑顔で出迎えてくれたのが、この素敵な雑貨屋「smicco」のオーナー相原由美子さん。店内には世界各国から集まった布や小物、お手製のオリジナル作品・・・ついつい商品に目が行き、取材を忘れて買い物がメインになりかねません。
気を取り直して、この「smicco」という店名の由来をお聞きしました。お知り合いが付けてくれたポルトガル語の名前を日本語訳したものだとか。晴海ヶ丘の隅っこだから、ではなくて、「お部屋の隅っこに置きたくなるような、それでいて存在感のある雑貨を」という由美子さんの想いがあるようです。
幼いころから雑貨が大好きだったという由美子さん。商品の数々やレイアウト、ラッピングや手作りのキルトなど、あちこちに長年かけて培ったセンスが輝いています。女の子なら(おばさんだって!)きっと思わず「キャー、かわいい!」と手を出してしまうようなものが所狭しと並んでいるのです。
そう、「smicco」は決して広いお店ではありません。そのせいか店内では雑貨の魅力にひきこまれ、知らず知らずのうちに癒されていることにふと気が付きます。その上、ちょっと腰かけてコーヒーを飲むこともできる、まさにホッとできる空間です。それもきっと由美子さんのお客さんを迎える温かい気持ちがあってこそのことでしょうね。親切なご近所さんやお客さんとも友達になった、と楽しそうです。
さて、そんな「smicco」がオープンしたのは、2010年の春。淡路島への移住を強く希望したのは海が好きなご主人、桂二さんの方でした。運送会社に勤め、サラリーマン生活を送ってきましたが、6年ほど前から自営で何かしたいという思いを持ち始めました。そして移住先に選んだのが、生まれ育った大阪からそう遠くない淡路島でした。ご夫婦で各地を見回る中で出会ったのがこの土地でした。この住宅地は今も別荘として家を建てる方が多く、平日は人が少ないといいます。
管理会社の方の説明を聞いている時にはまだ迷いがあったお2人ですが、そのうち夕方になり偶然目にした見事な夕日がお2人の迷いを吹き飛ばし、決断へと導いたと振り返ります。
同じ魅力を感じた方は少なくなかったのでしょう、今も新しく建築中の家があちこちに見られます。
まずは土地を購入し、ゆっくりと建築プランを、というのも相原さんだけではないかも知れません。相原さんご夫妻は、土地の購入から4年かけて家をデザイン。建築中も何度も現場に足を運んだそうです。
かくして2010年1月に出来上がった店舗兼住宅の周りにはきれいな花壇も。花の手入れに飽き足らない桂二さんは近くに畑を借り野菜作りに挑戦し始めました。海が好きなことから当初は漁業に就きたいとも考えましたが、徐々に農業への興味が深まり、今では農業研修生として市内の農園で奮闘中です。前の仕事からも体力には自信があったという桂二さん、初めての本格的な農業ですが、研修も順調に進み、自宅近くの畑も広げる予定だとか。夢は自分が育てた農産物を店に出すこと、と由美子さんに教えてもらいました。
雑貨と野菜のコラボ、なんてこともお2人仲良く話し合っているようです。由美子さんが仕入れたバスケットに桂二さんが育てた野菜が入って店先に並ぶ日もそう遠くないでしょうね。心待ちにしています!
取材日:2011年10月14日