理想の‟中古物件”にひとめぼれ!
半年で決めた超スピード移住
「淡路島に移住した理由?それは、この家があったからです(笑)」
そう語るのは、南あわじ市に在住する岩本幸代さん。岩本さんは2017年1月、住み慣れた大阪の街を離れ、夫婦二人で淡路島へ移住してきました。きっかけは、何気なく見ていたテレビ番組。
「大阪から離れるなんて全く思ってなかったけど、2016年6月、たまたまテレビ番組の移住特集を見て、‟そういえばうちも子供たちが成人しているし、大阪にいなければいけない理由はないな”と、軽い気持ちで大阪以外のどこかへ引っ越しを考えるようになりました。その頃は‟引っ越し”という言葉を使っていたし、‟移住”という感覚はありませんでした」
二人の移住先候補としてあがったのは、大阪からも近い淡路島。
「淡路島が田舎なのか都会なのか、何があるのかも分からないまま、とりあえずどんな物件があるのかネットでリサーチするようになりました。そこでハワイ暮らしを彷彿させるようなこの家を見つけて、‟すごいな~、こんな家があるんだ~”と思ったんですけど、軽い気持ちで買えるような家じゃないので、特に主人には話さないでいました。それからしばらくして、同じようにネットリサーチしていた主人が‟この家、いいと思うねん”と言って見せてきたのが、まさかの私が見ていたこの物件だったんです!(笑)」
意見が一致した岩本夫妻は、8月の末に物件を見に来ると、一目で気に入り購入を決意。晴れて翌年の2017年1月6日、念願の中古物件での暮らしと、新たな淡路島生活がスタートしました。
‟家”で移住を決めた岩本さん。気になる周辺の環境や利便性は、移住後にじわじわと感じていったのだそうです。
「近くには海があるし、歩いてコンビニへも行けます。スーパーは自転車で10分くらいのところにあるので、あとからすごく恵まれた土地だったんだなと気付きました(笑)」
‟周りの環境も大切だけど、いちばんは、自分たちが暮らす住まいが大事ですよね”
その潔さと割り切った考え方が、たった半年で移住を決められた秘訣でした。
「淡路島は、ハワイと似ている…」
AND HAWAIIに込められた思い
岩本さんが移住後に感じたのは、淡路島が昔から大好きなハワイと似ていること。
「海も山も、街の雰囲気も、本当にハワイと似ているんです。海岸沿いを車で走っていても、いたるところでハワイの景色と重なって…感心していたら、洲本市がハワイ州ハワイ郡と、姉妹都市提携していることを知ったんです。‟ならばそれを生かさないと!”と思って、イベントを企画するようになりました」
移住から一年後の2018年、「AND HAWAII」という屋号を掲げ、ウェルネスパーク五色で開催した初のイベント「AWAJISHIMA&HAWAII」には、SNSで集った約40店舗の出店と、会場を盛り上げるフラダンサーたちが集結。予想以上の反響に、翌年2019年にも2度目となるイベントを開催。すると来場者数は5000人を越え、大盛況のイベントとなりました。
「今後も全国のハワイ好きに淡路島へ来てもらえるように、ハワイのような淡路島をもっとアピールしていきたいです。せっかく姉妹都市提携をしているので、淡路島の学生がもっと現地の文化に触れられるような、ホームステイや交流の場作りも提案していけたらと思っています」
淡路島とハワイは、いつも近くにある。
「AND HAWAII」は、‟私に関わる全てのモノ・コト・人が、ハワイと繋がるように…”という意味を込めて、名付けられたのだそうです。
「田舎暮らしをナメたらアカン!」
移住はやっぱり、お金がかかる
一方、共に移住したご主人の、淡路島での新たな職探しはというと…
「正直、かなり苦労しました。人口の少ない地方は、都会以上に人手不足で意外と仕事はあるんじゃないかと思っていたので、いわゆるシニア層の主人の仕事探しに苦労したのは想定外でした。やっぱりどこも、年配者の雇用条件は一緒なんですよね。それと主人が年金受給者になって驚いたのが、介護保険料の高さ。人口が少ないということは、こういったことや、税金にも跳ね返ってくるんだなと。よく考えれば、当たり前のことですが…」
他にも、ゴミ出しには指定の袋を購入しなければいけないことや、時間に対する価値観の違いなどにも最初は驚いたという岩本さんでしたが、いまではすっかり、淡路島生活を楽しんでいる様子。
「大阪も近いから、いまでも頻繁に行き来しています。もちろん慣れ親しんだ場所なので、ふと心が揺れる瞬間もありますが、いまは‟自分が求めてきた暮らし”が淡路島にはあるので、島へ戻り、どこまでも見渡せる青く澄んだ空や広大な海を見ると心がちゃんとリセットされて、やっぱり淡路島へ来て良かったなと思うんです。それを確かめられる、この都会との距離感も淡路島の魅力ですよね」
「これから移住を考えている方は、周りの環境や人に流されるのではなく、自分の感性を大事にして欲しいなと思います。もちろん相談することは大事だけど、ほどほどに…(笑)いろいろ聞きすぎて、頭でっかちになってしまったら逆に来るのがしんどくなるし、私としては、自分が淡路島で生活するイメージができるかどうかがいちばん大事だと思います。観光で遊びに来るのと住むのとでは、やっぱり全然違いますからね」
‟私は淡路島だからできることを一から作りあげたかったから、大阪時代のモノは、家も仕事も、全部置いてきました”
時として移住には、岩本さんのような‟潔さ”も必要なのかもしれません。
移住からもうすぐ3年。移住スピードだけでなく、移住後もそのスピードを緩めることなく功績を積む岩本さんの姿に、活力をもらえるお話でした。
AND HAWAII
取材日:2019年10月21日