移住者の声
上岡武蔵さん・萌楓さん

YouTuber 上岡夫婦の、DIY LIFE

職業:自営業(ネット販売)・youtuber 移住年:2021年 前住所:岡山県 現住所:南あわじ市

DIYができる、古民家を探して

岡山県で会社員として働いていた上岡夫妻が、淡路島へ移住を考えるようになったのは、萌楓さんの退職がきっかけでした。

(岡山に住んでいたころの上岡夫妻)

「妻から退職の相談を受けたとき、今後の人生を考えるようになりました。“いつかお互いの趣味部屋がある、大きな家に暮らしたい”という夫婦の夢があったので、僕も退職して、これからは好きな場所で自由に暮らそうと思ったんです」

最初は新築の戸建てに憧れていた二人でしたが、古民家をリノベーションして暮らす人たちの生活に惹かれて、古民家探しをはじめることに。移住先は、萌楓さんの実家のある岡山へのアクセスが良く、温暖な場所という点で淡路島に決まりました。後に武蔵さんは「移住支援制度の手厚さも決め手の一つだった」と話します。

(特別面談で久保田夫妻(左)のお話を聞く上岡夫妻(右))

退職後、早速行動に移した二人は2020年10月にあわじ暮らし総合相談窓口の特別面談に参加し、物件の下見や先輩移住者でDIYをしながら宿を経営する久保田夫妻にお話を聞いたりと、移住のイメージを膨らませていきます。

その後も物件探しのために何度も淡路島へ足を運び、ようやく希望の古民家と出会い、2021年2月に移住をスタートしました。

 

風呂なし、トイレなしの過酷なテント生活

4度目の来島で出会った、理想の古民家。しかし築55年が経過していた古民家は、すぐに住めるものではありませんでした。

「引っ越す前に、まずは庭の掃除や部屋に残った荷物の片付けからはじめました」

(荷物を廃棄する様子-YouTubeより)

実は淡路島の“中古物件事情”として、家の中に前の住人の荷物が残されたまま売りに出されているケースが多くあります。その場合は上岡夫妻のように、荷物付きで購入しなければなりません。反対に、空き家率20%を超える淡路島では、こうした荷物整理に困った家主が売りに出さないことも多く、そのまま空き家として放置されてしまっていることも課題となっています。

自分たちの手で荷物を廃棄し、ようやく引っ越してきた二人でしたが、ここからさらに、過酷な日々が待ち受けていました。それは風呂なし、トイレなしのテント生活…!

(テントを紹介する萌楓さん-YouTubeより)

トイレもお風呂も備え付けてはありましたが、トイレは汲み取り式のため使用はせず、最優先で水洗トイレリフォームすることを決め、さらにお風呂はお湯が出なかったため、ユニットバスを設置し、エコキュートへ切り替えを行うことにしたのです。

さらに二人は、安心して過ごせる部屋ができるまでの間は家の中にテントを張り、簡易寝室での生活をはじめます。

(お風呂の入り口を解体する二人)

「You tubeでは楽しそうに見えていると思いますが、実際はすごくハードな生活で何度も心が折れたし、ケンカもたくさんしました(笑)いまはトイレとお風呂が使えるという当たり前の生活に、ありがたみを感じます」

(トイレのBefore・After)

知識や経験もなく独学ではじめたDIYでしたが、少しずつ形になっていく過程は、二人の自信にも繋がっているようでした。

“夫婦そろって虫が苦手で、怯えながらもDIYしています(苦笑)”と話す上岡夫妻の奮闘記は、YouTube「かみおか夫婦~島移住 DIY life~」でご覧いただけます。

 

温かく受け入れてくれた福良の街

周囲の環境や地域性よりも、古民家探しを中心にしてきた二人は、引っ越してはじめて福良の街の住み心地を知っていきます。

「実は引っ越した翌日に、YouTubeを見てくれていた地域の方が訪ねに来てくれたんです。それから町内会長さんも僕たちの様子を見に来てくれて、ゴミ捨てや畑づくりを手伝ってくださり、本当に良くしていただいています。“隣保”という田舎ならではの制度もここへ来てはじめて知りましたが、みなさんいい方ばかりですごく温かく受け入れてもらえました」

(町内会長さんに畑づくりを教わる武蔵さん)

以前住んでいたところよりも「コミュニケーションが深い」と話す二人ですが、人との距離が近いゆえに、少し戸惑ったことも…

「宅配が来たとき、知らない間に家の中に荷物が置いてあったり、突然、近所の人が “おーい” と家の中に入ってきたりして、最初は少し驚きました(笑)」

“田舎あるある”を経験しながらも、少しずつ福良の街に馴染んていっている様子が伺えました。

 

今後は移住希望者のために、二人でできることを…

淡路島へ移住して半年。二人はDIYをする中で、ちょっとした日常のアイディアも木工作品として形にできるようになり、最近ではそうしたアイテムをネットで販売するようになったのだそうです。家のリフォームだけでなく、作品作りの楽しさも覚えた萌楓さんは「きちんとした技術を身に着けて、家具ブランドを作りたい」と夢を語ります。

またYouTubeをはじめたことで、移住希望者から直接相談を受ける機会も増えたそうで「今後は移住希望者が入れるような、賃貸や民宿のDIYにも挑戦していきたい」とも話します。

(和室から洋室へ。DIYで生まれ変わった部屋)

「実際にDIYをはじめてみて感じたことは、“辛さが8割”ということでしたが、自分たちの思いが形になるのはそれ以上に達成感があるし、楽しいです。いまはこの家のリフォーム完成を目指して、“初心者の僕たちでもここまでできるんだ”ということを引き続きYouTubeで伝えていきたいです」

(2021年8月24日 取材時の上岡夫妻)

淡路島でDIY暮らしを希望されている方は、上岡夫妻のYouTubeを参考にしてみてはいかがでしょうか?築55年の古民家がどんな変化を遂げるのか。今後の展開をとても楽しみに感じる取材でした。

取材日:2021年08月24日

Top