移住者の声
早田哲也・西沙由里

美容室の枠を超えた、コミュニティを目指して

職業:美容室 coda(コーダ) 美容師 移住年:2016年 前住所:大阪府 現住所:淡路市

生まれ故郷の淡路島で
暮らしを楽しむ美容室をオープン

小高い丘の上にある、オシャレな外観の美容室。2017年5月にオープンした「美容室 coda(コーダ)」は、淡路島出身のUターン夫婦が営むお店です。

高校卒業を機に、島外の進路へ進んだ二人は、美容師として大阪で活躍。その後、沙由里さんの妊娠をきっかけに、淡路島へ戻ってきます。

「お互い、“いつかは自分たちのお店を持ちたい”と思ってはいたんですけど、なかなかタイミングが分からなくて…。妊娠したとき、“産休をもらうならこのタイミングで独立をしよう”と思いました。もちろん、お互いの出身地ということもありましたが、なにより大阪で働いていたころのお客様との繋がりもあるので、場所としてもそれほど不便ではない、淡路島での独立を決めました」

「大阪でも声はかけてもらったけど、作りたいお店のイメージは都会ではできなかったよね。僕たちは“暮らしを楽しむ”をコンセプトにお店を作りたかったので、そのためには周りの環境、景色、スペースも必要でした」

“大阪で働いていたころも楽しかったけど、やっぱりどこか、身を削っている部分もあった”と語る二人は、淡路島でまず、土地探しから始めました。

「僕たちが帰ってきたとき、ここは森みたいな場所だったんです。でも、近くにはインターもあるし、生活はしやすい環境で。ここだけ街っぽさを感じられないところが、コンセプトにピッタリだと思いました」

念願の地でオープンした「美容室 coda(コーダ)」は、もうすぐ3周年目を迎えます。

 

島に戻って気付いた、心境の変化

高校生の頃は、「早くこの島を出たい」という思いが強かったと話す二人。改めて、戻ってきて感じた、淡路島の印象を伺うと…

「昔は何もないと思っていたけど、帰ってきたら結構なんでもあったんだなということに気付きました。高校生の頃はまだネット環境も整っていなかったから、情報が入ってこなかったんですよね。でもいまは、都会にいても淡路島にいても、情報の得やすさには変わりはありません。それに都会で行われていることが、元をたどると淡路島で行われていた、なんてこともありました。例えば大阪のオシャレなショップを企画している人が、実は淡路島にいたり、流行っているものの生産元が、淡路島だったり…。最近では、都会からの移住者も増えているので、淡路島に“最先端”を運んできてくれているようにも感じます」

「あとは、仕事に対する目標も変わりましたね。大阪にいたころは、売り上げが目標になっていたけど、自分たちでお店を持つようになったら、数字よりも“もっとお客さんに還元できることをしたい”と、仕事の内容や質を考えるようになりました」

地元のお客様はもちろん、SNSなどを通じて、島外からのお客様も多い「美容室 coda(コーダ)」。

二人のモットーは、「make a person -ヘアを作るのではなく、人を作る-」

沙由里さんが以前働いていたお店の、コンセプトを受け継いだものです。

「僕たちは、美容室の枠を超えたコミュニティを作りたいと思っています。美にまつわる衣食住の提案をして、お店を“文化サロン”のような場所に成長させていくことが目標です。まだまだ時間はかかりますが、美容師は本気になれば、街だって作れると思っています」

 

-人が変われば街も変わる-

すぐとなりには、近々、カフェができるのだそうです。

 

「田舎ほど忙しいものはない」
早田夫婦の、移住のすゝめ

淡路島へ戻ってきて始まった、子育てと仕事の両立。子育てについては、“環境はいいけど、一人にするのは不安な面が多い”と話します。

「自然はいっぱいあるけど、ちょっとした小さい公園とかは少ないから、意外と遊ばせる場所は少ないかもしれないですね。島だから夜は暗いし街灯も少ないので、一人で歩かせるのもちょっと不安です。それに都会だったら、ある程度の年齢になれば習い事も自転車や電車で行けるけど、淡路島は車での送り迎えが必須だから、育てやすさで言ったら、大人次第かなと思います」

ちなみに奥さんの沙由里さんは、運転免許を持っていないため、そろそろ取得を考えているそうです。

「それとよく、淡路島で生活していると言うと、“ゆっくりしている”と思われがちなんですが、全然そんなことないですからね(笑)むしろ都会より忙しい。田舎は自分たちでやらなければいけないことが、本当に多いです。だから“田舎暮らし=スローライフ”と連想するのは、ちょっと違うかなと思ってしまいます。何もしたくないなら、逆に都会にいたほうがいい。多趣味で“暇さえあれば何かしている”という人であれば、田舎暮らしは向いていると思います。だって田舎ほど、忙しいものはありませんからね」

“4年経つ僕たちでさえ、毎日やることが多すぎて、まだまだ理想の生活環境を整い切れてませんよ…”

そう、笑いながら話す早田夫妻ですが、庭で育てた植物をドライフラワーにして飾ったり、紅茶にしてお客様へ提供してみたり…。淡路島での暮らしを、十分に楽しんでいる様子がうかがえました。

暮らしを楽しむ、早田夫妻。

淡路島での土地の購入や、新規事業をお考えの方は、一度訪れてみてはいかがでしょうか?
何か参考になるお話が、聞けるかもしれませんよ。

 

美容室 coda(コーダ)

淡路市中田4182-1

Webサイト:https://www.codahair.info/

取材日:2020年01月06日

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