梅雨の合間のある晴れた日、洲本市の漁港近くの賃貸物件に住むクリエイティブなご夫婦を訪ねてきました。
淡路島に呼ばれた気がした
大阪生まれ、大阪育ち。大阪の会社に就職し、15年間営業事務として勤務していた由香里さん。はじめの10年くらいは楽しく働けていたんだけど、30歳を過ぎたころから、仕事に対して違和感を感じるようになってきました。それ以外にも、人混みが苦手で大阪生活への疲れも感じるように。小さい頃から自然が好きだったこともあり、大阪に住んでいたころは近郊の自然豊かな場所に頻繁に遊びに行くのが好きで、その中でも淡路島はお気に入りの場所だったそう。
「自然は好きなんですけど、整備された自然が好きなんですよね。公園とか。。。」
山奥で開拓とか、山登りなどは好きじゃないそうです（汗）
そんな由香里さんにコロナ禍という転機が訪れます。勤めていた会社は緊急事態宣言を受けてリモートワークに。営業事務の由香里さんはリモートと出社のローテーションで仕事をすることになりました。そして、もともとは人混みが苦手だっただけなのに、コロナ禍では人との接触に恐怖を覚えるまでに。そのときよぎったのは、人が少なそうで自然豊かな淡路島で暮らしたいという気持ち。
「なんか、淡路島に呼ばれた気がしました。。。笑」
善は急げで、一泊二日の予定で淡路島に家探しに来た中北夫婦。なんと一日目で、今住んでいる賃貸物件を見つけたそう。その後、旦那さんも務めていた大阪の会社に淡路島からリモートワークが出来ないかと一か八かで打診！その時の営業先が加古川で、大阪事務所から加古川まで行くより、淡路島から向かう方が高速代も安かったこともあり、なんと！淡路島勤務が可能になったそうです。
「とりあえず私一人で二拠点生活かなと思っていたのでめっちゃラッキーでした！」
そしてなんと、沖縄移住を考えていた妹さんも、コロナ禍でも実家のある大阪に車で帰りやすいという理由で、淡路島に移住してきて来ました。（妹さんとは住んでいる家は別）にぎやかな淡路島ライフがはじまりました。
苦手だったからこそ伝えられる
大阪時代にはなんとなく働いていたけど、島に来たからには好きなことを仕事にしたいとはじめたベレー帽づくり。そのきっかけをお伺いすると。
小さい頃からずーと帽子が好きで、いろいろな形を買ってコレクションしていました。でも大学生まではベレー帽がすごく苦手だった。でも、とある店員さんにベレー帽の被りかたを教えてもらったんですよね。そのときはじめて上手くベレー帽が被れて嬉しかったんです！それから、友達にもプレゼントであげて被りかたを教えてあげたらすごく喜んでくれて！それがまた嬉しくて。
淡路島に移住することを仲良しの帽子屋さんに報告しに行くと、それなら淡路島で帽子屋さんしたらいいのに、と言われたんです。それを真に受けてやろうと思いました（笑）
アドバイスは素直に受けとる
帽子づくりなんてやったことないし、服飾の学校を卒業している訳でもないのに、思い立ったら即行動の由香里さん。オンラインで帽子づくりを教えてくれる講座を見つけ出し受講。数か月で淡路島のイベント（AWAJISHIMA Sodatete Market）に出店するに至りました。イベントに出店出来たことで、島の知り合いも少しずつ増えてきたとか。
そんな由香里さんはある日、イベントに誘ってくれた島の知り合いの雑貨屋さんですてきなターバンを見つけます。さっそく購入しようとすると。「せっかくミシンが使えるんだから自分で作ったらいい。あんたには売らないからね～」と提案されたそう。そのアドバイスを受けて、さっそくターバン作りにも着手します。
「いろんなアドバイスを素直に受けていたら、仕事の幅が広がりました。」
と、あっけらかんと由香里さんは語ります。一方、
「あのベレー帽の人！って言われることで、島の人に覚えてもらえるよう意識して活動してきました」
と論理的に語る雅洋さん。二人のバランスが素晴らしいなと感じました。
二人の夢はここでは終わらず、ベレー帽を名刺代わりにたくさんの人と知り合って、将来はイベントに出店する側ではなく、主催する側になりたいそう。そんな行動派のお二人にはさらなるご縁が繋がり、島のとある場所で今年？実店舗をオープン予定とか。まだ場所が決まっただけで、中身はこれから。
島で水を得た魚のように自由に生き生きと活動している中北夫婦。住む場所や仕事が変わると人って別人になるんですね。ちなみにベレー帽ブランドの名前「いちはなべれえ」は、世界に一つだけのベレー帽を見つけて欲しいとの思いから、某アイドルグループの大ヒット曲から拝借したとのことです（笑）
淡路島で世界に一つだけの夢の花が咲きつつある、そんな瞬間を垣間見た取材でした。
いちはなべれえ
取材日：2022年06月18日
