移住者の声
田畑尊靖さん

FIREして島暮らし

職業:行政書士 移住年:2021年9月 前住所:東京都 現住所:南あわじ市

いま巷で話題のFIREをご存知ですか?

FIREとは「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」の略で資産運用による経済的自立を意味します。そんなFIREを達成して淡路島に移住してきた田畑さんを訪ねて、淡路島の南のまち南あわじ市阿万地区にある自宅兼事務所にお邪魔しました。

 

ずっと心の中にあった田舎暮らしへの憧れ

神戸育ちで地元の大学を卒業後、東京に本社がある損害保険会社に就職した田畑さん。てっきり都会で働くのかと思っていたら、入社後の配属先はなんと福井。社会人一年目、田舎暮らしも一年目。阪神淡路大震災が起ってすぐの入社だったため、実家に帰ることもままならず、そうとう心細い新人時代だったのかとと思いきや。。。

 

「福井に強制的に缶詰になったので同世代の人が地元に帰って遊んでいる中、私は福井の人と沢山遊んで、そこで田舎暮らしのイロハを学びました」

 

とあっけらかんと語ってくれました。その後、東京の本社に配属になっても福井にはちょくちょく遊びに行っていたそう。東京の暮らしはそれなりに楽しかったけど、満員電車が大嫌いで、いつかは田舎で暮らしたいとの思いが膨れ上がっていきます。

 

そんな中、どこでも働ける資格を取ろうと思い勤めていた会社を退職し大学院に入学。中小企業診断士やMBA(経営学修士)の資格を取得します。その後、知人の会社の手伝いをしていたときにコロナ禍に突入。仕事がリモートになり時間が出来たので、行政書士の資格も取得しました。そんな折、友人から会社を継いでほしいとの打診を受けたそうですが、「このままずっと東京で働くのは嫌だな」と強く感じ、本格的に移住先を探すことに。

 

まず手始めに、ふるさと回帰支援センターに行って相談。そのときの候補は実家から近い場所(岡山・鳥取・兵庫の北の方)でした。実家のある垂水の対岸の淡路島には特に新鮮味を感じずスルーしていたそうですが、相談員さんに「淡路島は意外と広いので見てみませんか?」と後押しを受け、下見に行きます。実際に来てみると淡路島はとても広く、南の方はまったく馴染みがなく新鮮に感じたので、その日のうちに空き家バンクに登録して家探しをスタート。

 

自分から自己開示していくことの大切さ

その後、無事に家が見つかり最低限のリフォームも完了。2021年9月に完全移住を果たします。FIREしているので、つつましやかに暮らせば特に働く必要もない毎日。田畑さんはいままでやりたかったけど出来ていなかったことに次々とチャレンジしていきます。DIYで本棚やシアタールームやピザ窯を作ったり、家庭菜園もはじめました。ここにいて、一人でやることもないから自然に人を招くことが多くなったとのこと。先日は移住者交流会で知り合った方たちを招待してお手製のピザ窯を使ってピザパーティーを開いたそうです。

 

自作のピザ窯
美味しそうに焼けたピザ
たまにお母さんも垂水から来て手伝ってくれているという家庭菜園

 

近所付き合いも増えてきているそうで、そのきっかけになったのは、自宅の前に設置した事務所の看板(!)

 

看板があると締まりますね!

 

設置した次の日、さっそくご近所さんが訪ねてくれたそう。 田畑さんの場合、行政書士という堅めなお仕事だったので地域の人から社会的信用が得やすかったのかなと思いますが、地域に入っていくとき「自分は何者なのか」を開示することの大事さを実感するエピソードだと感じました。最近は近所で毎週開かれる定例の飲み会にも声を掛けられるようになったらしく、ご近所づきあいもエンジョイ中だそうです。

 

目指すは気軽に頼れる街の法律家

そんな中、飲みの席でフランクに「余っている土地をどうにかしたい」「なにか新規事業をはじめたい」など、仕事に繋がりそうな相談を持ち掛けられることが増えているそうです。そこで感じたのは、困りごとがあるのに誰に相談したらいいのか分からない人の多さでした。

 

自分の身近な人のために、自分の資格を役立てていきたい!と田畑さんは語ります。淡路島には中小企業診断士の資格保持者が圧倒的に少ないようで、実際、商工会などの起業セミナーに行っても講師は神戸から来た人だったりします。淡路島でビジネスをやろうと思うときに島の事情と専門的な知識の両方を持っている人が身近にいるのは心強いですよね。

 

「FIREできたことで、誰かに仕えるという仕事は辞めましたが、誰かの役に立つために「働く」ということは辞めたくないと思っています」

 

とのこと。
お金の心配がなくなったことで本当にやりたいことだけに集中出来る暮らしを実現されたようです(うらやましい。。)

 

最後にこれからやってみたいことを聞いてみると、「釣り、ダイビング、ゴルフ、あと写真はよく勧められるので、やってみたいです。淡路島は瓦の美しい家が多いので、瓦をテーマにとかもいいですね!」と語ってくれました。淡路島はやりたいことが全部できる島、FIREして時間的な余裕が出来た分、趣味に全力で打ち込む姿が印象的な田畑さんでした。

 

※余談ですが田畑さんが書いている、たばた行政書士事務所の「所長の日記」というブログがすごく面白いのでぜひ読んでみて欲しいです。田舎暮らしや生き方のヒントがいっぱい詰まっていて個人的にファンです。

 

 

たばた行政書士事務所 / TBT経営研究所

兵庫県南あわじ市阿万吹上町52−1

Webサイト:https://tbt-asml.com/

取材日:2022年04月26日

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