移住者の声
武政彰吾さん

島で「おもしろい」をつくっていく

職業:自営・地域再生協働員 移住年:2019 前住所:東京都八王子市 現住所:南あわじ市福良

自分のやりたいことをとにかくやってみる

 淡路島に来る前は人材教育系の会社の従業員として「人前でしゃべる仕事」をしていた武政さん。入社して一年くらいたったころ、ナイキの創業者の本「SHOE DOG」に出会い心を動かされます。その他、様々なことが重なり「起業」に興味を持ちはじめていきます。

 

 何者でもない自分が学生に向かって「自己実現するにはー」などと仕事でプレゼンすることに、違和感を持ちはじめました。

 

 思い立ったら即行動!ノープランにも関わらず脱サラ。でも特にやることも決めていなかった。とりあえず、以前から興味のあった教育分野のことをやってみようと思い、学生と経営者が繋がれるイベントを企画したり、お金がなかったのに200万円借金して、同時期に脱サラした仲間と4カ国ほどの教育現場を視察したり。。。関係ないですけどバーテンダーの仕事もしていましたね。

 帰国後、仲間達と、ついに起業だ!と思ったとき、地元の東京でやるのはなんか面白くないな。。。どうせやるなら「行ったことがなくて、知り合いもいない場所」がいいなと思い、起業の地を淡路島にすることを決めた。

 

ホームレス状態で移住

 仲間達と淡路島に行くことは決まった。だけど島には何のツテもない。。そんな時、東京と淡路島を繋げるイベントをしていたAさんを見つけます。さっそく連絡を取ってみると、Aさんは淡路島の岩屋に家を持っているらしく、一週間ほど貸してもらえることになったそう。そして、岩屋を拠点に淡路島の町を見て回ります。岩屋は島の一番北側にある町なので、拠点にするにはちょっと大変でしたけど。。。

 

 色々な町を見ているなか、淡路島の南の方にある漁師町「福良」で「にんぎゃか福良んど」というイベントがあると聞きつけた武政さん。イベント開催日に合わせて福良の町に向かいました。福良は「うずしおクルーズ」の発着する港があり、休日の港周辺はそれなりに観光客がいて賑わいのある町ですが、商店街のあるエリアは地元の人しかいない静かな町。そんな商店街エリアがこの日は大勢の人。。。その賑わいに感動しながら、昼食をとるため地元のとある食堂に入ります。

 

 お店の人だけでなく、お店に来ていた地元の人にまで、めっちゃ話しかけられました!

 

 そこで出会った人たちに自分たちの境遇について話すと親身になって相談に乗ってくれ、色々な人を紹介してくれました。そんな温かい福良の町が気に入った武政さんは、福良の色々な場所に顔を出しはじめました。そんな中で様々な人に出会います。家に泊めてくれる人、ご飯をご馳走してくれる人、さらに「今日はウチん家空いてないからホテル取っといたよ~」っていう人までっ! そんな中、トイレ風呂なし家賃一万円の家が見つかり、なんとかホームレス生活を卒業。

 

福良の町

 

口にすることで縁が繋がる

 福良を拠点にすることにした武政さんたちは、地元の人と繋がるため「町のお手伝い」や「何でも屋」などをはじめます。そんな活動をする中、自分たちの「やりたいこと」を地元の人に伝えていきます。例えば「BARをやりたい」と言っていたら、場所を提供してくれる人を紹介され、移住して二ヶ月でBARをオープン出来ました(笑)お世話になっている福良ともっと関わりたいと言っていたら、議員さんや自治会長さん、市役所の方が「地域再生協働員(県版地域おこし協力隊)」というポストを用意してくれ、お給料を貰いながら町の活性化の仕事をすることが出来るようにもなりました。

 

 地域再生協働員としては、福良の町中のシャターに絵を描いて観光客を呼びこむプロジェクト「福良シャターアートプロジェクト」を立ち上げたり、福良のありのままの日常を切り取った写真展「まちの個展 in 福良」を仲間と開催したりと精力的に活動中。

 

福良を代表する名物、うずしおと人形浄瑠璃をモチーフにしたシャッターアート

 

 特に写真展は地元の人が喜んで見に来てくれたのが嬉しかった。

 

 地元住民にとっては普通の風景でも、移住者から見ればそれは特別な景色。そんな福良を愛する気持ちが地元の人に伝わったのかもしれません。

 

 地域再生協働員としての活動も忙しい武政さん。業務時間外にも、仲間と立ち上げたアウトドア施設「焚き火BASE 〜HOKAGE〜」の経営をしたり、YouTubeチャンネル「あわぢ暮らし -地方移住YouTuber-」のパーソナリティーとして島の魅力を伝える活動をしたり、若者の交流の場づくり(婚活事業)を行うNPO法人を立ち上げたりと大忙し。さらに神戸の企業から委託を受け、淡路島在住レポーターとしても活躍されています。

 

 

 移住して三年間は自分を被験者にした実験だった。

 

 そう振り返る武政さん。どうなることかと思って取り組んだ「若者×地方×挑戦」でしたが、結果、この暮らしがめっちゃ面白かったと。借金200万円からスタートして、島に来た当初は自販機でジュースを買うことすら出来なかった自分だけど、今は借金を完済し、自分のお金で車を買うところまで来れた。。感慨深いですね。地方創生のために人を呼ぶのってなんなんだろーって思うんですよね、単純に「おもしろい」という理由で島に来てもらいたい。そして、

 

 ゆくゆくは地元の小学生の憧れになれるような会社を作りたい。

 

 何もないから島を出ていくのではなく、島で働くため、こんなスキルが必要だから都会に出て修行する、そして島に帰ってくる。そんなサイクルを生み出せたら最高ですね!

 

福良湾に面する「HOKAGE」は夕日がとっても綺麗

 

 取材中は終始、瞳を輝かせながらご自身の夢を語っていた武政さん。楽しそうに素直に「やりたいこと」を語るその姿に心撃たれたのは私だけじゃないはず。だからこそ、数々のご縁を引き寄せ、夢を形にして行けたのだと感じました。これからもどんどん、面白いこと起こしてくれそうで、私もフォロワーとしてワクワクしています。 

 

 

焚き火BASE 〜HOKAGE〜

兵庫県南あわじ市阿万吹上町1367

Webサイト:https://hokage-takibibase.com/

取材日:2022年10月20日

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