移住者の声
福田拓也さん・福田かおりさん

生活すること自体を楽しみ、面白がる

職業:Webディレクター・アクセサリー作家 移住年:2023年8月 前住所:大阪府大阪市 現住所:南あわじ市

 2023年に淡路島に移住し、DIYでこつこつリノベーションしたアトリエがもうすぐ完成するとの噂を聞きつけ、夏休みも終わりかけのとある猛暑日、福良の坂の上にあるアトリエまでお邪魔してきました。福田夫妻との出会いは、2022年に企画と運営のお手伝いをさせて頂いた南あわじ市の移住イベントでした。私自身DIYが好きなこともあり、DIYを駆使し田舎でクリエイティブに暮らしている人たちに出会って欲しいなと思い企画した渾身のイベントだったので、後日イベントをきっかけに移住した夫婦がいるという報告を受けたとき、心が躍りました。

 

アクセサリー作家である、かおりさんのアトリエショップ

 

無計画なようで?計画的な島移住!

 京都出身の拓也さん、和歌山出身のかおりさん、ど田舎ではないけれど、比較的郊外で育った二人。大都会大阪での暮らしは楽しかったものの、趣味はゲームとペットたちと遊ぶこと、別に大阪で暮らす必要ないよね?とある日気づいたそう。特に拓也さんは都会での暮らしについて「夜、星が見えないことが辛かった」と語ります。

 

 そんなこんなで田舎暮らしを検討しはじめた福田夫妻。仮に田舎に移住したとしたら「何が不安なのか?」「何をやりたいのか?」を徹底的に話し合うと、不安なこと=仕事がないことだと気づきました。なので、拓也さんは出社が必須だった営業職から何処でも仕事ができるWebディレクターに転身。かおりさんは精神保健福祉士の仕事の合間に副業でアクセサリー制作を始めました。

 

 そして、次は移住先の検討です。各地で開催される移住フェアに参加する日々がはじまりました。はじめの方は拓也さんの出身地の京都がいいんじゃないか?と思い、京都の移住フェアに行ってみましたがピンと来ず。。。そんな中、淡路島に興味を持ったきっかけは趣味の釣りがきっかけだったとか。その後、兵庫の移住フェアにも参加。会場で前述のDIYイベントの存在を知り、ゲストのDIYユーチューバーに興味を持ち、軽い気持ちで参加してみると。。。これが運命の出会いでした。

 

 イベントで南あわじの福良を散策してみて、町の雰囲気が気に入った二人。すると何かのご縁か三ヶ月後に福良で気になる物件が見つかります。ですが、その物件は、大規模修繕が必要な雨漏り物件。相談員にも「雨漏り物件はやめておいた方がいい」というアドバイスを受けましたが、なんと勢いでその古民家を購入!!!

 

 移住するかどうか、五年間悩んでいたのにも関わらず、イベント参加後、一年以内に淡路島移住を果たしました!

 

 

移住するために始めた副業が本業に

 本業の傍ら趣味で始めた、かおりさんのアクセサリー制作。試しに大阪で開催された、アート&てづくりバザールというイベントに出店してみると思っていた以上に売れたそう。なんと、二日間の出店の予定が、一日目でほとんど品物がなくなってしまい、夜なべしながら追加で作ったのがいい思い出だとか。作品はminne(ミンネ)などのハンドメイド品のマーケットプレイスの他、東京のハンドメイドアクセサリーのセレクトショップにも卸しているそう。

 

和紙で作られたアクセサリー(写真:戯ノ杜-SOBAEnoMORI-ショップページより)

 

 福田さんの作品は、和風なデザインなので着物が好きな方が購入しているのかと思いきや、アニメファンの方に人気があるそう。むしろ、和装系の方は出店しているときスルーして行くそうで、着物に似合いそうなのに何だか不思議です。アニメファンの方は好きなものをコレクションして楽しむ方も多く、Xで新作の告知をするとリピーターさんがたくさん購入してくれるのでとっても嬉しいとのこと。ですが、淡路島はインスタ文化なので、これからはインスタにも力を入れていかなくてはと思っています(笑)と語ってくれたかおりさん。 淡路島のアトリエショップのオープンが楽しみですね。

 

 

ボロの状態から住んでいるから、あとは上がっていくだけ

 雨漏り古民家を購入するという、なかなかおすすめしない方法で住居を確保した福田夫妻。家の改修やDIYについて聞いてみると。

 

 瓦の葺き替えや電気工事など技術が必要な箇所はプロに任せつつも、部屋の解体から内装まですべてセルフリノベーションすることにした2人。DIYの経験は皆無ながら、YouTubeなどでやり方を調べ、見様見真似でやってみたら案外やれたとのこと。

 

床の間を解体して作った洗面化粧台(写真:かおりさん提供)

 

 

 DIYで出来ない部分の工事は、移住者の知人に紹介してもらった地元の水道屋さんや電気屋さんに依頼したそうです。アトリエの改修にあたっては地元密着系の工務店さんに基礎工事のみお願いしたところ、「ここはDIYで出来るから、DIYでやってみて」と内装のアドバイスをもらうなど、とても親切にしてもらったとか。

 

 DIYって大変じゃないですか?との質問には、「ボロの状態から住んでいるから、あとは上がって行くだけ。日々キレイになって行くので、楽しいです」と前向きな言葉!!! 経過を楽しめる人でないと改修が難しい物件だと思いますが、楽しそうに語るお二人が幸せそうでいいなと思いました。

 

 淡路の暮らしについてお伺いすると。

 不便になった! とのこと(苦笑)

 

 かおりさんはオートマ限定の免許しか持っていないにも関わらず、旦那さんの車はミッション車。自分用にもう一台車を買う予定もないので、出かける時は三輪バイクか、歩いてバス停まで行っているそうです。坂の上に家があるので、この猛暑で大丈夫なのか少し心配になりましたが、何とかなっている様子。「もともと家で過ごすのが好きなので、ずっと家にいてもそこまで苦ではないんです。しかも立派なアトリエが出来たので、ここで作業するのが楽しいです。」と笑顔で語ってくれました。

 

レーザーカッターを使い、アクセサリーパーツの材料である和紙を切断します
切り抜いた和紙を樹脂で固めて「花」のパーツを作るそうです

 

 拓也さんは、お店でお酒を飲むのが好きだったそうですが、淡路島の繁華街、洲本から福良までの終バスが20時過ぎということで、飲み始めたらすぐ家に帰らなければならないので、家飲みが増えたそうです。でも「家の庭から星がめちゃくちゃ見える!」らしいですよ⭐️⭐️⭐️

 

 何となく、便利だから仕事があるから都会に住んでいる人もいるかもしれませんが、自分の好きなこと、やりたいことを棚卸ししてみると、案外都会に住む必要はないのかもしれませんね。

 

 

戯ノ杜-SOBAEnoMORI-

南あわじ市福良1124-12

Webサイト:https://lit.link/sobaenomori

取材日:2025年08月30日

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