意外と知られていないのだが(特に関東圏では)、淡路島は、広い。
どのくらい広いかというと、東京23区やシンガポールと同じくらいのサイズだ。
島の端から端まで行くには、車だと、高速道路だけでも約50分はかかる。
淡路島は一周150km。車で淡路島を一周しようと思うと、だいたい3時間。
そして、人口は約12.8万人(2019年5月現在)。東京23区は約950万人(2019年1月)。東京23区では淡路島の74倍も人が住んでいるということになる。
その淡路島に移り住んだ初日に驚いたことは、18時には町が真っ暗になることだった。
我が家は徒歩30秒のところにコンビニがあるのでそれでも明るい方だが、夕焼けが落ちると共に、町は静まり返る。移住直前に住んでいたのは最寄り駅が中目黒駅というところで、飲食店が多い場所であり、終電で帰っても街には人と車の往来があった。この淡路島の静けさを体感したときこそが、「淡路島に来たんだなぁ」とはっきりと認識した瞬間だった。
そしてこの暗闇と静けさは、最初から決して怖いものではなく、
むしろ何だかホッとするというか「ああ、本来こうだよなぁ」という感覚に近い。
それと同じことを感じたのが、人口密度だ。この広さに対してこの人数。
車を日常的に使う人は多いので、狭い裏道を息子と歩いているときに車が横を通りすぎる際は気を付けないといけない回数が東京よりも多いかもしれないが、子どもがのびのびと過ごすことに関して気を遣うシーンは淡路島での方が圧倒的に少ない。過疎化が問題にもなっている地域もあるけれど、今くらいの人口密度が、暮らすにはちょうどいいと私は感じてしまう。
そして最近、一つ分かったことがある。この数カ月で私にしては珍しく東京や大阪の中心地を何回も往復したのだが、都会から島に戻ってきたときの体の解放感は「土」がポイントだということだ(あくまで私の主観ですが)。緑が多く海が近いことが都会との違いだと思っていたけれど、一番大事なのは生活圏内をコンクリートではなく、どれだけ大地が占めているのか?ではないかとこの一週間考えている。普通に残っている家の庭や、里山、畑や田んぼ。高速道路を走っていても、周辺は山や田んぼだらけ。その存在がどれほどありがたいものなのか、改めて感じた。
このペースとスペースは、多少の不便さがあったとしても(今はそんなにないけれど)、人間の暮らしとしてはやはりなかなか健全ではないかなぁとベランダからぼんやり海を見ながら考えてしまった。