相談員ブログ

データでみる淡路島の仕事

こんにちは、あるいはこんばんは。相談員の田畑です。
相談員になって早2カ月が経ち、何組かの移住相談に立ち会いましたが、やはり移住のカギは「住居」と「仕事」のようです。

私は中小企業診断士・行政書士として日頃から経営相談を受けることが多く、そのうちの約3割は起業や新事業に関することで、その件数は確実に増えています。
そこで今回は淡路島での仕事について、国勢調査のデータを基に見ていきたいと思います。

淡路島の基礎データ

まずは、淡路島に関する基本的なデータから。
淡路島は北から淡路市、洲本市、南あわじ市の3つの市からなり、3市とも人口は4万人を少し超えるくらいの規模で、過去20年で大体15%~20%程度は減少しています。世帯数もほぼ横並びで、1.7万世帯ほど。こちらは市によって増減率は異なり、2000年との比較で洲本市は▲5.8%に対し、淡路市は+2.0%となっています。

     
単位:総人口(人)、一般世帯(世帯数)

そして、仕事に関するデータとして、15歳以上の就業者数を見てみると、ここ15年で淡路島全体の就業者数は15.0%減っています。人口も15.9%減っているので、学生が就職のために都会に出て行った、、、と言うより、家族ごと島を出て生活を始めたと推測されます。そんな中でも洲本市はここ5年だけを見ると0.4%も増えており、医療福祉関係者や教育-学習支援者の増加が特徴的です。


単位:人

 

淡路島は女性が活躍できる島?

次に特徴的なデータとして女性の就業についてみていきます。
淡路島は働く女性の比率が高い地域です。15歳以上の女性人口のうち、仕事をしている人の割合は、島全体で53.6%と兵庫県全体の数値より2.2ポイントも高く、全国平均より0.6ポイント低い程度です。ただ、南あわじ市だけでみると58.8%と兵庫県内では神戸市中央区に次いで2位、全国の市町村でも上位7%に入るくらいの高さです。


 ↑15歳以上の女性のうち、仕事をしている人の割合(仕事をしている女性÷すべての女性)

また、労働者全体で女性の占める割合は、島全体で46.1%とこちらは兵庫県の45.3%、全国の44.6%を上回っており、「女性が活躍している島」であると言えます。


 ↑すべての就業者のうち、女性の占める割合(女性の就労者数÷全就業者数)

 

淡路島は起業のチャンスがいっぱい?

続いて、起業についてです。まず、全国の企業に関するデータを2017年版の中小企業白書からみていきます。開業率・廃業率とも最も高いのが宿泊業、飲食サービス業です。開業率が9.7%で廃業率の6.4%を上回っているので、少しづつ増えているという計算になりますが、淡路島のデータを見ても当てはまるようです。ここ15年で宿泊・飲食の従事者は11.2%ほど増えているので、年平均で1%に少し足りないくらいの伸び率。経営相談でも最も多い起業の相談は飲食サービスです。


  出所:2017年度「中小企業白書」より


単位:人

また、淡路島と言えば玉ねぎなどの農産物。と言うことで農業従事者の推移を見てみると、島全体で15年前から27.1%下がっています。農林水産省が出している日本全国の就農者もここ10年で27%ほど減っているので、この減少率は淡路島にだけ顕著だというわけでもなさそうです。ただ、この数値も3市で比べると差が出ており、減少率が1番低いのは南あわじ市(▲23.8%)で最も減少しているのが淡路市(▲34.1%)。そもそも就農者数の56.7%が南あわじ市なので、農業をはじめるなら島の南側なのかもしれません。


単位:人

 

島でサラリーマンは?

では、島でサラリーマンになりたい場合はどうなのか?勤め人が多くて、さらに就労者数の上位3つ建設、製造、卸・小売の推移をみると、過去15年で25.6%も減っています。日本全国での減少率が5.3%なので、淡路島でのこれらの業種の減少は特徴的だと思われます。


単位:人

一方で、淡路島での求人倍率は兵庫県内でトップです。令和5年8月の兵庫県内の求人倍率が0.98に対して、淡路は1.98と圧倒的な人不足状態。それを象徴するように、医療・福祉の就業者数はここ15年で41.0%も増えていますが、それでも人手が足りておらず募集はひっきりなしです。


単位:人

 

淡路島で何をする?

最後にデータから見える淡路島でのお勧めの仕事について、私見を交えてコメントします。淡路島は第一次産業就業者の割合が高いことが特徴であり、農業や漁業をはじめたい人にはお勧めです。周囲に農家や漁師が多いと、情報交換や農機具・漁具の貸し借りなどの助け合いが当たり前になっていることがあり、初心者が事業を始める際に抱く不安が軽減される可能性があります。
場所的には数も割合も圧倒的に多い南側エリアがお勧めですが、北側エリア就農者の大幅減少を考えると休耕田や放棄地も当然増えていることが予測されるため、そういった土地を狙って起業するのもありかもしれません。


単位:人


単位:%

また、宿泊や飲食などのサービス業はここ数年で着実に増えているので、接客などのアルバイトやパートを探している人は比較的仕事は多い方だと思います。さらに、サービス業での起業を考えている人にとっては、同じような業種の店などが一ところに集まることで集客数が増える、「集積効果」が特に島の北側エリア・西側エリアで起こっていますので、そこに加わるのも手だと思います。ただ、競争は激しくなりますが。。。

そして、やっぱり勤め人がいい、と言う人へ。3市の昼夜間人口を比較してみると、夜間(=家)は淡路市や南あわじ市に住み、昼間は洲本市に働きに出るという傾向が見て取れます。つまり、勤めの仕事は洲本市など中央エリアに多いことが伺えます。
ただし、その差は年々縮まっており職住近接が淡路島でも浸透してきているようです。


単位:%

まぁ、色々と書きましたが、仕事は毎日の糧を得るための手段でその選択肢はいくつもあります。相談員というよりコンサルタントとしても各種アドバイスをしていますので、気軽にご相談ください (^_^)/~

 

この記事を書いた人

田畑尊靖

田畑尊靖

転勤で福井や東京などで暮した結果、静かな田舎暮らしに憧れて東京脱出を計画。どこでも仕事ができるように中小企業診断士や行政書士の資格を取ってから2021年9月に南あわじ市に移住。今はコンサルタントとして起業し、地域の人たちの「法律と経営の街医者」的な存在として様々な相談を受けている。(https://tbt-asml.com/)

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