三寒四温が繰り返し、淡路島にも春が近づいているようです。そんな晴れた一日、南あわじ市倭文(しとおり)の人気カフェ「ふくカフェ」を訪問しました。
電車もなくバスの便もよくない淡路島ですが、車でドライブしながらちょっと迷ったり、景色を眺めてみたり、探検気分で探すのが楽しい、そんな場所にこっそりたたずむのが樫本善嗣さん(38才)・佐知子さん(39才)夫妻が経営する「ふくカフェ」です。
看板や店内外にモチーフされているのはもちろん、ふくろう。一目見るだけでホッとする人は多いでしょう。「どうしてふくろう?」繰り返される質問にうんざりしても不思議でないはずの善嗣さん。「いろんな表情を持つふくろうが好きなので・・・」その善嗣さんの満面の笑顔こそ人をホッとさせる力を持っています。ちょっと「ふくろう顔」だったり・・・?
そんな善嗣さんが淡路島に移住を決めたきっかけを、ご自慢のコーヒーをいただきながらお聞きすることにしましょう・・・
元々バイク少年だったことから、就職先ではバイクの販売や修理を6年間経験。自分の目標に達したと感じ退職。次に就職したホテルでは転勤も多く、日本各地での勤務をこなし経験や知識を積みました。出身は大阪の堺市ですが、いろいろな土地を見て回るうちに、「いつか田舎に住みたい」という気持ちを持ち始めたと善嗣さんは振り返ります。
転機が訪れたのは2011年の1月、転勤先の淡路島洲本市で働いていた時のことです。住人を失った淡路島の古民家を使って欲しいと知り合いに持ちかけられます。現地調査や話し合いを重ね、自らの手でこの家の再生を決心。5月には引越し、デザイナーさんや業者の手を借りながら12月にはカフェをオープン。わずか1年間でここまでやってのける行動力の持ち主、善嗣さん。でも得たものはそれだけではありません。
幸福のふくろうが運んだのは佐知子さんとの出会いでした。佐知子さんは生まれ育った和歌山でお母様と喫茶店経営を経験した後、フラワーアレンジメントのインストラクターや花屋の経営、さらにアパレルの店長の経験を経てきた多彩な才能の持ち主。
そんな佐知子さんを淡路島に引き寄せたのは、2011年5月に善嗣さんがネットにあげた「カフェのオーナーコミュニティー」のサイトでした。運命の赤い糸は意外にも海をはさんだ和歌山と淡路島で繋がっていたのですね。9月からはお2人でカフェのオープンに取り組むことになりました。
元々古民家の離れだった部屋にキッチンと手作り雑貨が並ぶメインのカフェスペース。その横には納屋を思い出させる素朴な趣のギャラリー。のんびりくつろげる本家のお部屋に装飾された小物にも洗練されたセンスがうかがえます。
淡路島のおいしい食べ物やのんびりした空気が好きという善嗣さん。休日にはあちこちにバイクを走らせ魅力発見中とか。仕事を通してたくさんの人とつながりができたと喜ぶ佐知子さん。ハッとするくらいの美人でいてなお気さくさや優しさを感じずにいられません。
去年試みたという雑貨市を今後も開催予定とのこと。地域とのつながりも大切にした誰もがホッとできるカフェ・・・すでに連日大盛況ですが、これからも要チェックですね!
取材日:2013年02月15日