第二の人生を淡路島で過ごす
「自分が70~80代になったとき、“この狭い家には住めないな”と思ったのが、移住を考える最初のきっかけでした」
28年間暮らしてきた西宮を離れ、2018年8月に淡路市野島へ移住した野間夫妻。平日は互いに神戸の会社へ都市通勤をしながら、休日は家庭菜園やカフェ巡りなど、島の暮らしを満喫しています。
念願だった平屋建てのマイホームは、天井が高く開放的な空間に。リビングとお風呂からは、海が見えるようこだわりました。
「最初に建てた家は、27歳のとき。西宮で10坪3階建ての家に住んでいました。当時は土地の値段が高かったので、それくらいの家しか建てられなかったんですよね」
子育てがひと段落し、考え出したリタイア後の生活…
「退職後のことをイメージしたとき、僕は何もやることがなく、暇を持て余すような生活はしたくないと思ったんです。だからボケないためにも、移住をして何か趣味を作ろうと考えました」
最初は岡山や鹿児島などを視野に移住先を検討していた野間夫妻でしたが、お孫さんたちが遊べる体験施設や公園の多さに魅力を感じ、淡路島で第二の人生をスタートさせます。
田舎暮らしがもたらした心境の変化
月に2回ほど遊びに来るお孫さんとは、旬の味覚狩りや季節の体験、畑作業など、淡路島でしかできないふれあいを大事にされているお二人。淡路瓦で一緒に作ったという、玄関に飾られた鉢植えも思い出のひとつです。
「最初は自分たちのための移住でしたが、いまでは孫たちに田舎を作ってあげることも目的になっています。都会ではできないことをここでたくさん経験してもらって、将来の選択肢が増えたらいいですよね」
西宮に住んでいたころは、家に人を招いたことがなかったという野間夫妻。いまではお孫さん以外にも、会社の同僚や友人が遊びに来ると、島案内も買って出ているそうです。
特にシャイだったご主人は、淡路島で暮らすうちに自然と“社交的になった”と奥さまは話します。その心境の変化はご主人も感じているようで、嫌なことがあってもあまり引きずらなくなったのだそう。
「音楽を聴きながらぼーっと海を眺めていると、幸せな気持ちになれるんです…」
楽しみを見つけるたびに生まれる生活のハリが、お二人の心に余裕をもたらしているようです。
西海岸はお気に入りの場所
冬の強い季節風の影響で、居住地としては懸念されがちな西海岸の地。風が強い日は道路に潮が上がることもあり、暮らすには少し覚悟が必要な場所です。
野間夫妻も、家を建てる前に地元の不動産屋で心配をされたそうですが、それでもお二人にとっては“お気に入りの場所”。
「確かに冬はものすごく寒い日があるけど、一年を通して考えたら、圧倒的に快適な日の方が多い。夕陽もとてもキレイだし、生活する上で不便を感じることは特にありません」
実際に、都市通勤をされているお二人の通勤時間は45分。京阪神への通勤には、とても便利な場所といえます。
また、最初は田舎暮らしに乗り気ではなかった奥さまも「明石海峡大橋を渡るときに、仕事とプライベートのオンオフの切り替えができて、こういう生活もありだなと思えるようになりました」と、いまでは淡路市からのアクセスの良さを実感。
さらに自宅周辺は、週末移住の“二拠点生活”をされている方が多く住む地域。密度の高い近所付き合いや、自治会などの縛りもない暮らしは、リタイア後にのんびりとした暮らしを望む方には最適かもしれません。
本人たちにとっても、お孫さんたちにとっても“まさに理想的”といえる田舎暮らし。にぎやかでたくさんの笑顔が垣間見える、野間夫妻の取材でした。
取材日:2021年02月27日