移住者の声
松浦翔太さん・まゆこさん

すべてを自分たちで決めていくという面白さ

職業:製菓店経営 移住年:2019 前住所:大阪府 現住所:南あわじ市阿那賀

 冬の厳しさも和らぎつつある、2月某日。島で人気の製菓店を切り盛りする夫婦を訪ねて、島の南のまち、福良にあるチャレンジモール福良CAP内にあるお店に伺いました。

たまたま仕事でやってきた淡路島

 淡路島に来る前はホテルの料理人として働いていた翔太さん、その後、パティシエとして同じ職場に入社してきたまゆこさんと出会い、二人のお付き合いは始まりました。途中、翔太さんが三重の結婚式場に転勤になったりして遠距離恋愛の時期もあったそう。そんなとき翔太さんに「淡路島」からお仕事のお話が舞い込んできます。

 

 「淡路島の農園レストランで料理人とパティシエ探してるねんけど、よかったら一緒にどうかな?」

 

 面白そうだなと感じた翔太さんは、まゆこさんを誘って淡路島に移住。淡路島の某農園レストランで、翔太さんは料理人、まゆこさんはパティシエとして働き始めます。ホテルの仕事と違って、観光農園の仕事は、料理以外のこと、例えば、畑の作業、BBQの準備、メニュー開発、接客、ハウスの修繕工事、お金の管理など多岐に渡りました。料理を作ることが好きだった翔太さんは、料理以外の色々なことを任されるのにモヤモヤした気持ちを抱く時期もあったそう。だけど、今思えばこのとき「店全体を見る力」を養えた、それが今の自分のお店作りに非常に役立っている。と振り返ります。あと、観光農園という特性上、旬のものを扱うことが多く、旬を実感できるようになったのも嬉しいことの一つ。

 

 その後、まゆこさんは本格的な製菓店でも働いてみたいと思い、島の製菓店に転職。

 

カヌレという、少し珍しいお菓子で島のスイーツ市場に参入!

 実は、翔太さんの弟さんも島に暮らしている和食の料理人。いつか二人で和食のお店をしよう!ということで準備を進めていたのですが、方向性が合わず、独立の話は立ち消えになっていました。そんな折、縁がつながり、地元の方にチャレンジショップ(福良CAP)の紹介を受けた。がんばれと背中を押してくれる人がいるならやってみよう!ということで、思いきり方向性を変え、まゆこさんとスイーツのお店で独立することに(!)

 

コンテナハウスを利用した商業施設「福良CAP」内にcopanのお店はあります

 

 お店の看板メニューを作るにあたり、初めは、「焼きたてシュークリーム」「米粉クッキー」などのメニューを検討していたけど、なんか普通じゃない?とあまりピンと来ていなかった二人。そんな中、前職でカヌレを焼くのが好きだったことを思い出した翔太さん。

 

 「カヌレは作るのが難しく、うまく作れるようになるにはかなり練習が必要なんです。だから真似されにくい。この時、淡路島でカヌレを出しているお店がなかったこともあって、看板メニューにいいと思った。」

 

 珍しいお菓子ということ以外にも独自性を出したい!と思った松浦夫妻。普通カヌレは小麦粉で作るのですが、淡路島産の米粉で作ることに挑戦します。そして、米粉を使ったことで独特なモチモチ食感のカヌレのレシピが完成しました。もちろん、普通のカヌレが好きな人のためにメニューの半分は小麦粉のカヌレ。更に試行錯誤を重ね、小麦粉不使用の皮からクリームまで完全グルテンフリーのシュークリームの開発にも成功。

 

看板メニューはカヌレとシュークリーム

 

 「独自性を出したくて使っていた米粉ですが、小麦粉アレルギーの人が、初めて食べられた〜!と喜んでくれたり、地元のお米を使った米粉は、昨今の原料高騰の影響を受けにくく、いろんな意味で早めにメニュー開発出来ていて良かった」

 

 と、思わず幸運な展開。さらに幸運は続いていく。

 

米粉を使ったカヌレはモチモチ食感

 

 お店のスタート時点では認知度が低かったカヌレだが、この後、某コンビニチェーンで売り出すようになってきたりと、ちょっとしたカヌレブームが巻き起こる。色々な幸運が重なって、米粉カヌレは、お店の看板メニューとして着実に認知されてきている様子。

 

お互いの得意を活かしたお店づくり

 お店ではお互いの得意を活かして、担当を決めている。なんでも器用にこなすまゆこさんは、お菓子作りとプロモーション担当。レシピ開発はもちろん、インスタグラムの写真や文章、ロゴデザイン、ディスプレイや看板作りもやってのけます。大胆だけど心配性な翔太さんは裏方担当。お金周りの計算や、料理の仕込みをしてまゆこさんを支えています。

 

まゆこさんがDIYしたお店の看板、小学校で使ったきりお蔵入りしていた彫刻刀を久しぶりに握り掘ったそう!

 

 お仕事でも家でもずっと一緒の二人。仕事のことでケンカすることはあるけれど、プライベートでのケンカはほとんどなくなったそう。仲良しの秘訣を伺うと、「ずっと一緒だとしんどい。だから出退勤ときは別々の車を使っています」とのこと。一人の時間を確保することで冷静になれるそうです。なので、夫婦で移住される方には、車2台を強くおすすめします(笑)車2台あることで、仕事が先に終わった人から帰って、買い出しも出来るし、効率的に時間が使える。

 

 お店の名前copan(コパン)はフランス語で友情って意味。淡路島に来て、接客が楽しくなったという松浦夫婦は、お客さんとも友達のように接していきたいとのこと。フレンドリーで心地よい接客と、美味しいスイーツで幸せな気持ちになれる素敵なお店copanに皆さんもぜひ足を運んでみてください。

 

 

copan

兵庫県南あわじ市福良甲1526-2

Webサイト:https://www.instagram.com/co_panpan/

取材日:2023年02月09日

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