移住者ブログ

淡路島での起業のアレコレ

この記事は、2023年1月7日に開催された「オンラインライブ相談会 突撃!!あわじ暮らしさん」の内容を抜粋して書き起こしたものになります。イベントの様子はFacebookのライブでアーカイブ配信されています。その他、音声のみで楽しみたい方はポッドキャスト配信プラットフォーム「Anchor」にもアップロードしていますのでこちらもあわせてどうぞ。

 

 第八回目のゲストは、40代でFIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成し、2021年9月に東京から淡路島に移住した、田畑尊靖(たばたたかやす)さん。現在は中小企業診断士・行政書士として、気軽に頼れる『経営と法律の街医者』を目指して地域で活動中!このあわじ暮らし総合相談窓口の「移住者の声」でも以前取材させていただきました。当日は「島での起業」をテーマにお話いただきました。

 

地元商工会が主催する創業塾に参加

 私は現在、中小企業診断士の資格を活かして、起業して2〜3年目くらいの方を対象にした商工会主催のセミナーの講師をしたりしています。自分自身も南あわじ市で起業したので、南あわじ市の起業補助金をもらうために(苦笑)商工会主催の「あわじもん創業塾」に受講者としても参加しました。(※起業補助金をもらうためには、南あわじ市商工会が開催する起業セミナーを受講または受講予定であることが条件。)

 

 

 今年は60人弱の方が参加していて大盛況。その中で10人くらいの方が、自分がしたいと思っている事業内容を発表していました。いちばん多かったのはカフェをやりたい人。変わった人だと、地ビールを作りたい人、家業が水産会社で余っている土地でキャンプ場をやりたい人、競走馬の育成をしたい人など、地元にある資源を生かした事業が多かった。 だから、全く何もわからず、準備もなしに、やりたいことだけやりたい!という起業ではなく、ちゃんと準備・計画している方が多い印象でした。

 

 これは裏話ですが、商工会の担当者と創業塾の反省点を話しているなかで、今年は参加者が多すぎて、グループワークもままならず座学中心になってしまったのが残念だった。来年からは一部二部に分けるしかないかも、という話も出ていたんですよ。

 

 ーもう完全に運営側ですね(笑)

 

 これはね、もうお手伝いしていかないと、人手が足りてないですからね。実は起業のサポートというのは市の仕事。商工会はビジネスの存続をサポートするところなんですよ。

 

ビジネスの相談で多いこと

 多いのは、販路開拓のご相談。売るところも決まっていないのに作りたいから作ってしまうとかは、農家さんに多い。特に移住者の方とかは昔からやっている訳じゃないので「自分が好きだからこれは売れるだろう、だからとりあえず作ってみました。さあ、どっかで売りましょう!どこで売りますかね?」という感じで、細かい計画を立てられていないことが多い。需要もないのに作っちゃうっていうのに驚いてしまった。逆に、今まで買ってくれていた人が買ってくれなくなった。だから、新たな販路開拓をしたいという人も相談にいらっしゃいます。

 

田畑さんの本棚にはビジネス書がたくさん!

 

 ー島では長く事業を続けてらっしゃる方も多そうですよね?

 

 そうですね。特に農業は親子三代で続いていたりする。相談者は農家の二代目とか、新規就農の方もいますよ。この前受けた相談は、「紅芯大根」という赤い大根は高く売れるけど日持ちがしないので、どこで売れるだろうか?だとか。あとはお米、農協に卸すと安くしか買い取ってもらえないから、直接販売するにはどうすればいいのか、とか。そんなとき、そもそも買ってくれる人がいるのか?というデータをきちんと集めたらいいのになと感じていて、いま受けている案件では「この食材は、どんな人が、どこで食べているのか?」をきちんと調べて、そのデータと共に食材を提案できるような準備を進めていたりもします。

 

FIREしても毎日楽しくいるコツは

 ー田畑さんはFIRE(経済的自立と早期リタイア)で資産運用による経済的自立を達成された訳ですが、最近巷では「FIRE卒業」と言って、FIRE生活に飽きて仕事復帰される方がいるみたいです。田畑さんは毎日楽しそうに見えるのですが、何かコツはありますか?

 

 好きなことだけやっていてもつまらないと思うんです。毎日が日曜日ってそんなに楽しいのか?

 

 だから、ちょっと気分を変える出来事がないと!と思った。それが私の中では「お祭りがあるから交通整理手伝って〜」みたいなちょっとした頼まれごと、面倒くさいなと思うことも自分の中に取り混ぜていくことだった。移住して好きなことだけやっていたら、すぐにやり終えて、やることがなくなってしまうなと感じた。だから、2022年のテーマは、頼まれごとは断らないにしていた。たぶん、移住したてで、ちょっと寂しかったのかもしれません。声をかけてもらえるのが嬉しかった。少し気分の乗らないことも積極的に引き受けていくことで、結果、楽しく過ごせた。

 

 2023年はなんでも引き受けるのはやめて自分のやりたいことをやるつもりです。具体的には住んでいる地域活動のお手伝いなど、ですかね。もっと時間があれば、サウナを作ったり、キャンピングカーで旅がしたいなとも思っています。(Fin)

 

 

 憧れのFIREを達成した田畑さん。すごく頭がいいのに、とても謙虚で物腰が柔らかくて、そんな人柄だからこそ地域の人に頼りにされ、いろいろな相談が舞い込んでくるのだろうなと感じました。2022年には地域活動に目覚めたそうで、2023年は南あわじを盛り上げてくれるのかなと思うととてもワクワク。ますます目が離せませんね!

この記事を書いた人

黒川香苗

黒川香苗

1984年岡山生まれ。大学卒業後、大阪の建材メーカーでデザイン開発を担当。退職後、夢だったゲストハウス開業に向け、生きた英語を学ぶため単身カナダへ。帰国後、開業に向けての準備をするうち、ひょんなことがきっかけで南あわじ市地域おこし協力隊に。卒隊後は淡路島に定住し、ADDress淡路島の大家兼フリーのデザイナーとして活動中。

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